2020年2月6日木曜日

バリ島でケチャを見に行ったら、待っていたのはコメディショーだった件

年末のバリ島旅行記、その2です。今回、初めてバリを訪れるにあたって、ケチャダンスは絶対に見に行くと決めていました。極端な言い方をすれば、ケチャ以外のアクティビティーは何も決めていなかった。


12月23日、車とドライバーをチャーターしました。ケチャが連日行われているウルワツ寺院に向けて出発します。ケチャがはじまるのは18時、チケットが発売されるのが17時なので、15時30分にスミニャックのWホテルを出発しました。1時間半もあれば、チケット発売に間に合うだろうと。


しか〜し。1時間経っても、車はスミニャックの街を出ることができません。渋滞があまりにヒドいのです。いま16時30分で、ウルワツまで最低あと1時間はかかる。17時30分だと、チケットが売り切れている可能性が高い。

結果、この日のウルワツ行きは諦めて、何もせずにホテルに帰りました。翌日もどうせ予定はないので、「明日の14時出発で再チャレンジしよう」とドライバーと握りました。

12月24日、クリスマスイブですが、この島にはあんまり関係ないみたい。車はサクサク進んで、早く到着しすぎてもやることないので、途中、コーヒー農園に立ち寄ります(←この話は別エントリで書きます)。

16時過ぎにはウルワツ寺院に到着し、軽く観光しながらケチャのスタートを待ちます。チケットは17時より前に売り出され、あっという間にソールドアウトになっていました。炎天下の下、ウチらのドライバーのおっちゃんが列に並んでくれて、無事にチケットをゲット。エラい! ちゃんと行列していない、カオスのようなBOX OFFICEで、自力でチケット買うのは難しかったかも。良かった良かった。

そして、コロッセオみたいな屋外のシアターに移動します。


コロッセオは海を見下ろす高台に建っていて、夕陽が沈む頃合いにケチャのステージがプログラムされています。

何このロケーション&時間設定……。最高かよ!

そして、17時キッカリに、MCが現れて客席とコミュニケーションを始めます。ショーの始まりです。

上半身ハダカの男たちが車座になり、手の平をヒラヒラさせて「ケチャケチャ」叫びます。


配られた演目メニューに従って、ケチャは進んで行きます。だんだん日が沈んでいき、雰囲気は最高なんですが、何だか今ひとつ盛り上がりに欠ける気が……。

「あれ。ケチャって神に捧げる芸能で、演者がトランス状態になるんじゃ?」

全然そんな雰囲気はありません。ハダカのニイちゃんたちは、けっこう「仕事」って感じでケチャケチャ叫んでいる感じ。

途中、女性キャストが出てきたりしたので、演目見たら「ラーマヤーナ」をベースにしてることが分かりました。そうか、ヒンドゥーだもんな。

思ったより芝居パートが多いなあと思って見ていましたが、そのうち、サル役のキャストが現れ、観客にちょっかいを出し始めます。


この白いのがサル役です。ここから、場内には笑いが起きはじめます。

そして次の演目になると、さっきのサル役(白装束なので目立つ)は、ステージではなく裏口から突如客席に現れ、客の隣にちょこんと座ったり、一緒にセルフィーを撮ったりなど、やりたい放題に。場内は大爆笑です。もう、誰もケチャなんか見ていません。客席のサルをずっと目で追ってる。「こっち来い!」って呼んでるオッサンもいる。

何だかなあ……。

もっとスピリチュアルで、ホーリーな芸能だと思っていたのに、何だかなあ……。


サンセットをバックに繰り広げられる、半裸の男たちとサル男のコメディショー。それが、ウルワツのケチャの実態です。

ほとんどのお客は喜んでいるけど、耐えられずに席を立つ西洋人もかなりいます。

ショーを最後まで見届け、コロッセオを後にし、車に戻ります。ドライバーのおっちゃんに「面白かっただろ? あのサルは最高だよな」って言われ、「うんうん」って返事しましたが、「この感じ、何だろう?」ってずっと考えた結果、思い出したのが、90年代に見た「トロカデロバレエ団」。内容は全然違うんだけど、何か、似てる感じがしたんだよね。

そして、この帰り道がまたヒドい渋滞なんですわ。ホテルに帰ったら21時でっせ。帰るのに3時間近くかかってる。

しかも帰る道々、ドライバーのおっちゃんから、「明日はどうすんだ? 滝に行かないか? キンタマーニにはいつ行くんだ?」と激しいセールス攻撃を浴び、ヒドく疲れた記憶しかありません。

てなわけで、バリでケチャを見るみなさんには、ウルワツ寺院以外での鑑賞もオプションに入れておくことをオススメします。

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