2021年12月8日水曜日

キング・クリムゾン来日公演。往年の名曲群に信者たちもスタンディングオベーション

2021年12月7日、Bunkamuraオーチャードホールに、キング・クリムゾンの来日公演を見に行ってきました。しかしまあ、これは奇跡的に実現したライブと言っていいでしょうね。

緊急事態宣言が解除され、飲食店への時短営業が解除されたのが10月25日、11月29日に岸田内閣がオミクロン株の感染発見で、外国人の入国制限を11月30日以降禁止すると発表。このピンポイントな期間に、尊師ロバート・フリップとそのバンドが日本にいたという事実にただただ驚きです。


今回の日本公演は11月27日の東京国際フォーラムを皮切りに、名古屋、大阪を経て12月8日にオーチャードホールで終える、全8公演。そのうち7番目のヤツに行ってきたと。

中学生の頃から、UKロック、とりわけプログレにハマっていた私にとって、キング・クリムゾンやピンク・フロイドは特別な存在です。今回、クリムゾンのライブに参加するのは3回目です。

1981年は浅草国際劇場という珍しい会場で体験しました。1995年は厚生年金会館へ行きました。しかしいずれも、ロバート・フリップ&ニューウェーブのコンボって感じで、昔の曲をほとんど演らない。観客の聞きたい曲が聴けないので、かなり今イチだった記憶があります。しかし、今回のオーチャードホールは全然違った。想像以上でした。


尊師ロバート・フリップは、1946年生まれで今年75歳。ベースのトニー・レビンは81年からクリムゾンにいます。途中、ピーター・ガブリエルと浮気しますが、その後は尊師一筋に戻ったみたい。あとは、サックスがメル・コリンズで、これは70年代からの最古参ですね。そしてボーカル&ギターがジャッコ・ジャクスジク。2013年からクリムゾンのメンバーだそう。加えて、なんとドラマーが3人もいます。総勢7名、トリプルドラムスという非常に珍しい編成です。

18時40分、♪ドンドコドコドコ、ドカドカドカドカというドラムスのサウンドで幕が開き、ギターの音が鳴り出すと、それは「太陽と旋律 パート1」であることが分かりました。「パート2」でなく「パート1」です。「スゲエ、そんな曲もやんのか!」ってけっこう興奮します。昔の曲→新しい曲→昔の曲って感じで演奏が続きます。個人的に一発目のヤマは「クリムゾン・キングの宮殿」で、これが3曲目ぐらい。ちょっとウルっとします。

「レッド」が終わって、次の曲の「ジャ〜〜〜ッ」って前奏で、斜め前の席にいたオバちゃんが微笑をうかべ小さく合掌しました。「エピタフ」です。「何これ、まんまメロトロンじゃん!」。キーボードが奏でるサウンドは、メロトロンの音色以外の何ものでもありません。そうよそうよ、この音だよ。混乱こそ我が墓碑銘。

インターミッション前の第一フィナーレは、「21世紀のスキッツォイド・マン」です。「21世紀の精神異常者」からいつの間にか邦題が変わってたんですね。例のイントロで大拍手出ましたが、立ち上がる客や踊り出す客は1人もおらず、皆おごそかに演奏に集中しています。この曲は、YouTubeに2018年のライブ素材があるので貼っておきましょう。10分57秒。

https://youtu.be/3028oDEKZo4

↓こちらかも見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=3028oDEKZo4

ステージの上にいるのは、さながら尊師と弟子。で、客席にいるのは、信者と檀家と一部パトロンって感じでしょうか。年齢層は非常に高く、私よりもシニアな爺さんがたくさんいます。驚いたのは、女子もけっこう多い。5〜6%ぐらいは女子だったかも。

そんなシニアな客層に配慮したのか、1時間40分付近でインターミッション。またの名をトイレ休憩。皆が、どーっとトイレに向かいます。グッズ買って帰って来る人もけっこう多い。

休憩明けは、またもズンドコドコドコ、ドンドコドコドコっていうドラム3基そろい踏みから始まって、新しめの曲を経て、これまた意外性高い「ポセイドンのめざめ」の一曲目「ピース(平和・序章)」から「太陽と旋律 パート2」のメドレーで盛り上がり、セカンドフィナーレ。客席も照らされて、総立ちのスタンディングオベーション。こんだけ名曲連打されたら、そりゃみんな立ち上がって拍手したくなるよね。

速やかなアンコールで、「スターレス」を13分演りきって、尊師と6人の使徒は客席に挨拶。「演奏がすべて終了し、ベースのトニー・レビンがカメラを手にして写真を撮ったら、それが合図でその時だけステージを撮影することができます」としつこく繰り返していた事前アナウンスに従って、観客が一斉にスマホ撮影開始。


指示に従い、言われたことはよく守るジャパンの信者を相手に、尊師(一番右)もさぞやご満悦だったことでしょう。他のバンドメンバーが去ったあとも、ひとり長くステージに残り、客席の写真を撮っていました。

個人的には、81年と95年の不完全燃焼をついに解消し、キング・クリムゾン体験における完全燃焼を成就できた、非常に有意義なライブでした。チケット代1万6000円はけっこう高いけど、客層が荒れないので、それはそれで良かったんじゃないかなと。大満足の一夜でした。これをもって、キング・クリムゾンを卒業できますわ。

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