2025年4月22日火曜日

ジェフ千葉絶好調の2025年J2リーグ、10節が終了して首位堅持。「オシムの壁」を超えてJ1昇格できるのか?

週末(2025年4月20日)は、フクダ電子アリーナに行ってました。ジェフユナイテッド市原・千葉(ジェフ千葉)は1対0で大分トリニータに勝利、今季は10節終了時点で9勝1敗で勝ち点27。2位の大宮とは勝ち点差7の首位と、ここまでは絶好調のシーズンになっています。


Jリーグが発足した1993年以来、ジェフ千葉を応援しています。ジェフ千葉は2009年にJ1で最下位に沈んでJ2に転落して以来、ずっとJ2リーグから抜け出すことができていません。

しかし、2023年の小林慶行監督就任以降、攻撃的かつスピードの速いサッカーがサポーターを魅了し始め、2023年は5位で昇格プレーオフ進出(PO準決勝で敗退)、2024年は7位で昇格プレーオフ一歩手前と、可能性を感じさせるチームになってきています。私も2024年シーズンの後半からシーズンチケット購入を再開。フクダ電子アリーナに毎月1〜2試合観戦に出かける習慣に戻っています。

スタジアムの敷地内には、イビチャ・オシムさんの銅像が立っています(2023年6月建立)。オシムさんは2003年から2006年の途中までジェフ千葉の監督を務めた後、日本代表の監督に就任しました(2022年没)。クラブ史上、もっとも偉大なレジェンドであることは疑いようのない事実です。


オシムさんがジェフ千葉の監督だった時代の獲得タイトルは、ナビスコカップ(現在のルヴァンカップ)での優勝が1回あるのみですが、「考えながら走るサッカー」を選手に求め、「万年降格争いだったチームを優勝候補に変身させた」という評価は定番です。そして何よりも、含蓄にあふれウィットに富んだ「オシム語録」を数多く残したことで人々の記憶に残っています。私も含め、オシム信者は今でも崇拝の気持ちを全然失っていません。

ジェフ千葉は、オシムさんが去った3年ほどあとにJ2に降格し、現在に到ります。「何でジェフ千葉はこれほど長きに渡ってJ2にいるのか?」という質問は私もよく聞かれますが、「オシムさんが偉大すぎたので、それを上回る、あるいはそれに匹敵する指導者が見つけられないから」というのが、答の1つではないかなと思っています。「オシムの壁」が高すぎるんですね。

オシムさんと言えば、最近、反町さんのこんな本を読んでいて、オシムさん関連のエピソードが出色だったので紹介します。


引用してみましょう;
印象に残るのは2005年7月9日の市原臨海競技場で戦った試合(ジェフ市原対アルビレックス新潟)で、エジミウソンのゴールで先制したが追いつかれ、その後勝ち越したもののすぐに巻のゴールで追いつかれ、アディショナルタイムに得点され結局2-3で逆転負けをした試合である。非常に蒸し暑い中で最後まで足が止まらないチームに驚かされたのである。後日、オシムさんに仕えた江尻篤彦コーチに聞いた話だと、オシムさんはこの試合翌日、失点した同じシチュエーションを再現し、それをどうやったら防げたかという練習を30分以上もやったそうだ。試合に勝ってもこうした状況だから、負けた場合はなおさらである。

オシムさんの通訳を務めた千田善さんも言っていた。「オシムさんは『しょうがない』『気持ちを切り替えよう』という言葉が大嫌いだった」と。全力を尽くしたから負けてよしとするのではなく、負けの中身をしっかり精査してそれを次の練習や試合につなげる。そうしないと問題は何一つ改善しない。当時のジェフの内情を知る関係者によると、負け試合の後は1時間くらいの説教を食らうのは当たり前だったらしい。さらに帰りのバスの中でもその負けた試合の映像を流させたという。僕が思うに、勝ちと負けじゃ天と地ほど違うというメッセージをオシムさんは監督として送り続けたのだと思う。(引用終わり)


ジェフ千葉、今シーズンこそ連戦連勝でちょっと調子に乗っていますが、オシム監督時代のハードコアでスパルタな日々に比べたら、まだまだ全然じゃん!って思うのも事実。それにしても、負けた試合の帰りのバスの中でその負けた映像を流すだなんて、ほとんどイジメですよね。でも「勝ちと負けじゃ天と地ほど違う」というのは、今期のジェフ千葉の選手たちがサポーターに対して示してくれている感覚があります。

日本代表時代の、メンバー選考に関する記述も面白い。ああ、そんなこともあったよねって思い出します。

引用します;
オシムさんの船出の試合は2006年8月9日のトリニダード・トバゴとのキリンチャレンジカップ(東京・国立競技場)だった。(中略)オシムさんが8月4日(試合のたった5日前です)に発表したメンバーはGK川口能活、山岸範宏、DF三都主アレサンドロ、坪井慶介、駒野友一、MF田中隼磨、小林大悟、今野泰幸、長谷部誠、FW我那覇和樹、佐藤寿人、田中達也という13人だけだった。同時期に開催されるA3選手権や海外遠征のために千葉、G大阪、鹿島の選手を招集できなかったという事情はあるにせよ、かなり異例の事態だった。

オシムさんが「直前までJリーグを見ないで、その前の段階で選手を選出するのはおかしい」と主張したからだった。直近の試合でケガをするかもしれないし、調子が変になっているかもしれないと。しかし、チームの総務担当からすると試合はお盆の時期だし、チケットの手配も大変だから可能な限り早めにメンバーを決めてもらって、もろもろの手配がしたい。「そんなギリギリまで発表を遅らせたら選手は定められた日に全員集合できないですよ」「新幹線だって乗れないです」と訴える。そんな反論にあのお父さんはなんと言ったか。今も忘れられない。「夜中に、車で移動すればいいだろう。マネジャーが運転すれば、本人は寝て移動できるだろう。ユーゴスラビアで代表選手を集めた時は、昼間は戦争をしていて、夜に停戦して戦車が止まっている間に選手は自分で車を運転してきたんだよ」。その場がシーンとなった。平和ボケの日本との落差というか。私も同僚だった大熊清コーチも「分かりました」と答えるしかなかった。(引用終わり)

ユーゴスラビアでサッカーやるのって、真に命がけなんですね。だから、勝負とか試合とかにかける意気込みが全然違う。敵にやられて「しょうがない」と片づけたり、「気持ちを切り替える」だなんてもっての他。つまり、生きるか死ぬかの価値観でサッカーやってるんだな。

現在のジェフ千葉の小林監督は、オシムさんほどのカリスマはまとっていませんが、久々に現れた、選手にもサポーターにもリスペクトされている監督だと感じます。この監督の下、見事J1に昇格できた暁には、ようやく「オシムの壁」を乗り越えられたと言えるでしょう。オシムさんがジェフの監督を退任してからぼちぼち20年。そろそろあの時代のことを昔話として片づけるようにしないとね。

16年ぶりのJ1復帰、果たして達成できるのか? 久しぶりにサッカー観戦が楽しいと感じる2025年シーズンですが、まだまだあと28試合も残っています。この調子でフィニッシュまで行って欲しいものですが、果たしてどうなるか。毎試合、ドキドキですね。

ところでこの日、オシムチルドレンの中でも、とりわけオシムさんのお気に入りだった水野晃樹が試合前のイベントに登場して、ジェフ千葉時代の思い出を語っていました。


懐かしいですね。水野晃樹は「いわてグルージャ盛岡」のGMに就任したそうです。第2の人生で、活躍して欲しいですね。

先ほど紹介した反町康治「サッカーを語ろう」は、もともとJFAのWebサイトの連載です。オシムさんに関するページがまだ生きていたので、リンク残しておきます。

オシムさんのこと① ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第21回~

オシムさんのこと② ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第22回~



2025年4月8日火曜日

東京→房総ドライブに関する重大なアップデート。KK線廃止、アクアライン値上げ

 気候の綾ですかね。満開になった桜がなかなか散らず、しぶとく残っていますよね。先週末は、けやき坂とか江戸川公園とか、大変賑わっていました。週末は千葉県の内房で過ごすことが日常になってきているのですが、この週末は東京で花見を楽しんでいました。


さて、2025年4月5日(土)、そんな東京→房総への車での移動に関して、重大なアップデートがありました。しかも2件です。

  1. 首都高のKK線廃止。八重洲線は10年間の通行止め
個人的に、これは痛恨事です。だって、いつも使っている道路が通れなくなるわけで。

いつも西神田から首都高に乗って、神田橋の先で八重洲線に入り、KK線を通って湾岸線、アクアラインと進むのですが、これからは別ルートになりますね。八重洲線やKK線はいつも空いていて、銀座のど真ん中をスイスイ通過していくのが最高に気持ちよかったんですが、そんな快適ライドも完全に終了です。二度と走ることができません。


将来的に、KK線は歩行者が散歩できる道になるそうです。ニューヨークに、同様の空中散歩道みたいのがありますよね。それをモデルにしたのかな。八重洲線は10年後にどこかに繋がって、また車で走れるようになるのかも知れませんが。


八重洲線の分岐のところは、紅白のバリケードで封鎖されてました。いや〜、ホント残念。毎週走ってたんですよ、この道路。

  1. アクアラインの料金体系見直し。休日は400円、800円、1600円の三段階に
続いては、アクアラインの料金が変わった件。2年ほど前から、アクアラインは上り線(木更津→川崎方面)の休日の通行料金を、時間帯によって微妙に変化させていました。しかしそれであんまり効果が出なかったということで、今回、ドラスティックに料金を変えてきたというわけです。


デフォ:上下線とも800円
上り線(土日祝) 0時~04時、20時~24時=400円 13時~19時=1600円
下り線(土日祝) 0時~04時=400円 05~07時=1000円
平日は上下線ともに800円

13時から19時の間に木更津(金田)から東京方面に向かう場合は、1600円に値上げです(これまでは1200円だった)。通常が800円なので、2倍ってことですね。


経験上、土日のアクアライン上り線は14時過ぎには確実に渋滞するので、13時ぐらいには金田入口を通過するという習慣にしています。だけど、16時とか17時に金田に入って、渋滞なしで18時ぐらいに東京の自宅に帰れるのなら、料金が高くてもそっちの方が全然いいです。この新しい料金体系で、劇的に渋滞が緩和されると嬉しいのですが、まあしばらく様子見ですね。「多少の緩和」レベルではあんまり意味がないので。

新料金ですが、今回、下り線(川崎→木更津方面)にも手を入れましたね。休日の05時〜07時が1000円と、通常の200円アップとのこと。これはあんまりワークする感じはないですが。あと、0時〜04時が400円ってのは「ヤンキー割」みたいな主旨ですかね? ちょっと下り線の方は意味がよく分かりませんでした。

以上、高速道路に関するけっこう大きな改変が2件重なって、房総方面はちょっとザワザワしそうです。次の週末は、新しいルートと新しい料金の房総ドライブに突撃するつもりです。

2025年3月31日月曜日

お花見もいいけど、ご神木もなかなか味がありますよ

 2025年3月末の週末は、2週連続で房総におりました。花見に行く気満々でしたが、あいにく22日〜23日の週末は桜が間に合わずで、ちょっと趣向を変えて「房総のご神木」を訪ねることにしました。

まず向かったのは、富津市の東大和田「興源寺」の「環の大樟(くすのき)」という巨木です。興源寺は「酒匠(ソムリエ)の館」の看板で有名な小泉酒造の近くにある真言宗のお寺で、その入口の階段あたりにこのご神木が聳えています。


中央部がパックリと穴になっています。富津市のウェブサイトに説明がありました。

主幹はすでに枯死して中心部が大きな空洞となっているが、切り株から伸びた2本の「ひこばえ」が大きく生長し、あたりを覆っている。

樹高は約23m、根回り約20.7mで、千葉県内の樟の中では最大のものである。昭和10年(1935)、県指定天然記念物の第1号として指定された6件のうちの一つである。昭和3年の報告では、その時点ですでに主幹が腐朽して空洞となっていたようである。

「ひこばえ」という言葉は初めて目にしました。樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のことだそうです。

次に行きましょう。次は君津市にある「賀恵渕の椎(かえふちのしい)」です。



君津市のWebには「八坂神社境内にあって、樹高20.7m、目通り8.5m、枝張り最大21.0mもある巨木です」とありますが、神社っぽい佇まいはなくて、畑の中に突然現れる感じ。「新日本名木百選」に選ばれ、君津市指定の天然記念物でもあるそうです。

こじんまりした社務所はありましたが、周辺にブランコや滑り台などあって、子どもの遊び場の一部って感じですね。



色んな角度から眺めることができますが、これは確かにデカい木です。地球の歩き方「日本の凄い神木」によれば、「房総ナンバーワンの異相」と紹介されています。樹高19メートルに対して、枝張りが南北に33メートルと書いてあって、君津市の説明とは数値が違っていますね。



長年に渡り、強風から周辺の田畑や集落を守ってきたのでしょう。まさに守護神のようなご神木ですね。

クスノキと、シイのご神木を堪能したあとは久留里まで足を伸ばし、ランチを摂って帰宅。その途中、いつも水(ご神水)を汲む「古船浅間神社(こせせんげんじんじゃ)」に立ち寄ります。


ここに生えている2本の銀杏の木も実に見事。両方とも樹齢は310年以上と推定されており、左の木は高さ約24.5m、幹周り約5.7m。右の木は高さ約24.5メートル、幹周り約3.4mの大木です。

ご神木巡りはここまで。その翌週3月30日には、館山の城山公園に桜を見に行きました。



満開やや手前ですね。7分〜8分ぐらいの仕上がりでしょうか。次の週末あたりがベストかも知れません。



館山城からの帰り、坂道を下っていると、城山公園内にもこんなご神木がありましたよ。何本もの幹が合体していてただならぬ気を感じます。根が異常に太くて長くて不気味な感じもありますね。

次は神奈川県とか静岡県あたりにご神木を訪ねてみたいと思っています。

▼ 日本の凄い神木: 全都道府県250柱のヌシとそれを守る人に会いに行く



2025年2月27日木曜日

超久しぶりに鋸山に登った件。みんなが「ヤバいヤバい」と言ってます

 昨年(2024年)末の話になりますが、実に久しぶりに鋸山(のこぎりやま)に登りました。房総半島随一の景勝地です。今回、往復ともロープウェイに乗ったのですが、前回これに乗ったのがいつだったのか、iPhoneの写真をひっくり返しても思い出せず、帰って自宅のPCで確かめたら、前回の訪問は2007年のことでした。実に17年ぶりってことになりますね。


ロープウェイは新しくなっていますが、改札が、切符にハサミを入れる昔ながらのスタイルで、ちょっと懐かしい気分になります。


通常、ロープウェイは山の斜面に併行して、地面を舐めながら登っていくものが多いのですが、鋸山のロープウェイは切り立った山に向かって直角三角形の斜面を登っていく感じ。足下、地面が遠くに見えるのでなかなかスペクタクルな体験ができます。

ふり返れば、東京湾の向こう側に富士山を拝むことも可能です(天気が良ければ)。


乗車時間は4〜5分ほど。山頂駅に着いたら、展望台で景色を楽しんであまり歩かずに帰ってくるでもOKですが、せっかくなので回遊コースを散策することにします。回遊コースは「40分コース」「60分コース」「90分コース」の3通りが提案されています。

今回は、もっとも短い40分コースを選びました。

道中、岩肌むきだしの案外険しい道が続きます。すれ違う観光客たちが、みな「ヤバいヤバい」と言っています。本当に、全員が口を揃えて「ヤバいヤバい」って言いながら歩いているんですよ。それ以外のボキャブラリーがないみたい。面白いね。

「坂がキツいわ」とか、「気をつけないと危ないよ」とか、「これは大変だ、とっても疲れそう」……。色んな感情が「ヤバいヤバい」という言葉に集約されているのが、今どきのジャパンです。

そんなことを考えながら歩いていると、案内所が出現。ここで拝観料700円を払って、チケットを買います。このチケットは大切に保管しておきましょう。また後で出番がやってきます。ヤバい石段を登ると「地獄のぞき」に到達しました。この出っ張りが鋸山のシンボルですね。ここで折り返し。


帰りしなに「百尺観音」を拝みましょう。アフガニスタンのバーミヤン大仏、こんな感じだったのかな。バーミヤンのはもう見られませんね。百尺観音の前で、アジア人の仏教徒が数名お祈りしています。タイの人かな。


1937年と刻まれた明大生の落書きも、本当はイケナイことですが、今や逆に貴重に感じます。88年前ですよ。遺跡だな。


せっかくなので、日本寺の大仏も見に行きたいのですが、歩き疲れてきたので、一旦ロープウェイで下山します。駐車場から車で行こうと。

ロープウェイ乗り場の駐車場を出て、国道127号を館山方面に走ると、トンネルの先に有料登山道がありますが、それを無視してさらにトンネルを2つくぐると「日本寺」という地味な案内が出てきますので、それを左折。ちなみに、こちらは有料道路ではありません。


日本寺の大仏は、日本一大きい大仏だそうです。31メートルの高さです。

ちなみに、大仏手前の入口で、すでに購入してある日本寺のチケットを見せれば入場可能です。これ、知らないと二度チケット代払っちゃうことになるのでご注意ください。

日本寺では、弘法大師が護摩を焚いたと言われています。こんな石窟が参拝コースに点在しています。


帰りは温泉なんかもいいでしょう。もっとも、房総半島は温泉がそれほど多くないので、この「海辺の湯」一択ですかね。


鋸山、今回は17年ぶりでしたけど、これからは体力診断も兼ねて年に一回ぐらい登ってみようと思います。なかなかスペクタクルな観光地だと再確認できました。房総の名勝だよね。あと、ハードコアな参道を歩く人々のぼやく「ヤバいヤバい」が、どう変遷するのかにも興味がありますよ。


2025年1月31日金曜日

これは超絶便利! 文字起こしアプリ、ここまで進化してたのね

 つい最近、銀座のAppleストアに行きました。新しいiPadを購入するためです。それまで使っていたものがだいぶくたびれてしまい、本体の縁の部分にあるボリュームボタンが埋没してしまったので、さすがに新調した方がいいだろうと。


買うモデルは決まっています。店員のお兄さんをつかまえて、「iPad Proの12.9インチください」→「容量は何ギガにしますか?」→「256GBでお願いします」→「色はどうしますか?」→「スペースグレーで」ってな具合で注文し、在庫を確認してもらいます。

すると、一段落したタイミングでお兄さんが「すみません! ボク、自分のことを話すのを忘れていました。ちょっと自己紹介してもいいですか?」と。

珍しいことを言うなあと思いつつ、「ええ。どうぞどうぞ」と返したところ、「実はボク、聴覚障害でお客さんの声が聞こえません。でも、話すことはできるので、こんなアプリを使っていまお客さんと会話しているんです」と言うではありませんか。

「ええ!ウソでしょう。ちゃんと会話が成立してますよね」って返したら、iPhone上で動いているアプリを見せてくれました。店員さんと私の会話が、リアルタイムで画面に表示されていきます。ほとんどタイムラグはない。かなり速い。おかげで、何のストレスもなく会話が成立します。

「これは凄い! 何というアプリですか?」


「『YY文字起こし』というアプリです。聴覚障害の人向けのアプリで、今まで有料だったんですが、最近無料になってとても助かってます!」

これは仕事で使えるわって思い。家に帰って早速ダウンロード。会社のオンライン会議で試してみます。


おお〜。いい感じです。これ、全部Zoomでの会話です。一文字もテキストをタイプしていませんよ。漢字の変換も完璧じゃないですか!

YouTubeの音声とかでも試してみましょう。


凄い凄い。いやあ、なかなかいいですよ。ルビも表示されるし。インタビュー取材とかで十分使えそうなレベル。

翻訳機能もついてます。設定をガッツリ行う必要がありますが、英語→日本語で試してみましょう。

これは、CESでラスベガスに行った時のヤツです。Metaのブースでスタッフの方の説明を文字起こし&翻訳。


ちゃんと説明の内容が理解できます。ただ、矢継ぎ早に話者が喋っている場合、翻訳を表示するタイミングが難しいというのはあります。

空港でも使ってみました。バゲッジをドロップする際のエアラインスタッフとの会話。


重量超過で追加料金取られちゃいましたw

翻訳はやや不完全な部分もありますが、必要十分ではないでしょうか。意外に耳もよくて、距離が多少離れていてももちゃんと聞き取っている。

アプリを開発したのは、アイシンという会社です。トヨタ家列の自動車部品メーカー。ちょっと意外ですが、開発の現場や工場などで役立つアプリなのかも知れません。

一応、無料で使えるのですが、連続で2時間までしか使えないなどの制限があります。文字起こしは、同時に録音しながら実行するので、多少意味不明な箇所があっても、あとで録音を聞き直しながら推敲できます。もう、これでICレコーダーとか不要ですね。興味を持った方は是非使ってみてください。「YY文字起こし」、iOSアプリ、Androidアプリが無料でダウンロード可能です。