24時間眠らない町バガンから、ヤンゴンに帰ってきました。ミャンマー旅行の最終日は、早朝からゴールデンロック参拝に出発し、夕方、ホテルではなくヤンゴン空港へ帰還します。その後、22時10分のANA便で東京へと帰国する旅程。
これがゴールデンロックです。絶妙のバランスで崖の上に乗っかっています。
そして、ここまでたどり着く道のりがちょっとしたアトラクションで、まったくの想定外だった……。
朝7時、専用車(東京からヤンゴン到着時に出迎えてくれたクラウンと再会)がホテルにお迎えにきました。今日のガイドはティンティンさんという女性です。
ヤンゴンから北東へ伸びる高速道路を2時間半ほど走り、10時45分にチャイトーという町に到着します。ここが、ゴールデンロック参拝の拠点なのです。
クラウンを降りて、次に我々が乗り込んだのは。トントントントン……。
日野の2トン!
正確には、2トン車ではなくて4トン車です。ダンプカーです。
バスターミナルならぬダンプターミナルに、20〜30台ぐらいのトラックが溜まっています。
これ、普通バスで行くところだよね。何でトラックなの?
トラックの荷台には、40席ほどのシートが設置されており、高さ1.5メートルほどのタラップみたいな乗り場から、客が次々に乗り込んでいきます。
一列にピッタリ6人が座らされ、7列で42人、つまり定員いっぱいまで客が乗車するのを待って、トラックはビュビューンと音を立てて発車します。
さて、何でトラックなのか?
実は、ゴールデンロックは標高1100メートルの山頂にたたずんでいます。その山頂へと至る道路は、もの凄い急勾配の坂道なんです。バスよりもパワーのデカいトラックじゃないと、大勢の参拝客を一度には運べない。
日光のいろは坂よりも、勾配がきつい感じの曲がりくねった狭い山道を、4トントラックがビュンビュンにブッ飛ばして駆け上がっていきます。
何なんだこれ。公共の乗り物で、こんな凄いのがあるなんて。
「プシューッ、プシューッ」という排気ブレーキの音が、荷台に乗った人々の緊迫感を煽ります。
しばらく走ると、トラックが右側に寄って一旦停車しました。何なに?
道幅が狭いので、降りてくるトラックに道をゆずるために、こうして何台かまとまって停車するのです。
これは「山岳路上コースターライド」って感じの乗り物だな。帰りは下り坂なので、相当楽しそうです。コワイけど。
ミャンマーのトラック野郎、熱いです。運転もかなり上手い。
もちろん、すべてのトラックは日本車の中古車です。日野、三菱ふそう、日産UD……メーカーの人がミャンマーに来て、この光景を見たら興奮するでしょうねえ。
およそ30分ほどで、我々の乗ったダンプは五合目ぐらいの広場に到着。
ここからは、ロープウェイに乗り換えて山頂を目指します。しかし、ロープウェイは別料金なので、そのままトラックで山頂まで行く人の方が多い。
このロープウェイは2017年にできたもので、ミャンマーで唯一のロープウェイなんだと。
ゴールデンロックが遠くに(写真の左下あたり)見えますが、だいぶ小さい。
10分たらずで山頂駅に到着です。ここから、ロックまで徒歩15分ぐらいの道のり。
ゲートの手前、階段の下で靴を脱いで、ここからは裸足で歩きます。
ゴールデンロックはただの観光地ではなくて、りっぱな聖地です。従って、集まっているのは参拝客。
参拝客たちは、敷物を引いて、寝床を作って、泊まりがけで参拝するんだそうです。
一大キャンプ場ですね。食べ物屋もたくさん出店してます。
そして、いよいよゴールデンロックに突撃!
そして、いよいよゴールデンロックに突撃!
岩の周囲には参道がぐるりと回っているので、360度いろんな角度から参拝可能です。
ただし、岩に触れることができるのは男子のみ。手でペタペタ触っているのは、岩を押しているのではなく、金箔を貼っている。
とにかく皆、熱心にお参りしています。
岩から足下を覗くと、雄大なパノラマが広がっていて、かなり高いところに来たんだなと。
ゴールデンロックが立っている周辺は、風の抜ける実に気持ちのよい場所で、何時間でも過ごせそう。泊まりがけで来る気持ちも分かる。
今はトラックとロープウェイのおかげで、ふもとからおよそ1時間ぐらいで山頂まで来ることができますが、昔は歩いて7時間かけてお参りしたんだそうです。
我々は1時間ほど滞在して、帰路につきました。
帰りはロープウェイに乗らず、トラックのみでビャビャーンと降りました。予想通り、帰りの方がスペクタクル。ずーっと下り坂なワケで。
このトラックによるピストン輸送は、25年前から始まったそうですが、トラックは全部で200台ぐらいあるそうです。かなりの急勾配を上り下りしますが、これまで事故は一度もないんだって。ガイドのティンティンさんによると、事故がないのは「お釈迦様のご加護」なんだそう。
ゴールデンロックそのものも、お釈迦様の髪の毛のおかげで転ばずに立っていられるという伝説ですし、ケタ外れにホーリーな場所なんでしょう。
山を下り、クラウンに乗って、夕陽を見ながらヤンゴン空港へと向かいます。
楽しかったミャンマーともいよいよお別れです。
ヤンゴン市街に差しかかった時、ガイドのティンティンが「右側に見えるのが、ヤンゴンの瞑想センターです」と教えてくれました。
メディテーショニストの私としては、興味津々でしかありません。
「へえ! 瞑想センターってどんなところ?」
「瞑想のやり方を教えてくれるところです。ミャンマーの人は若い頃に、みんな一度は瞑想センターに入ります」
「ティンティンさんも瞑想センターに行きましたか?」
「私は昔、3日間だけ行きました。瞑想をすると、いろんな欲から解放されます」
最終日、これから飛行機乗って帰るってタイミングで、一番重要な情報に接しました。
というのも、今回の旅行の結果、私がミャンマーという国をひと言で表現するなら「マインドフルネス国家、ミャンマー」だなって思ったから。人々の慈愛に満ちた表情が、とても印象に残るんです。
瞑想センターは、宿泊費も食費も無料で滞在できるんだそうです。外国人もたくさん訪れるんだとか。
ググってみると、瞑想センターに滞在した人たちの体験記が山のようにでてきます。
「マインドフルネス国家」の裏が取れたよ。そういうことか。
ティンティンさんが「いまは、モン州にある瞑想センターが一番人気ですね」と教えてくれました。
また、ミャンマーを訪れる理由ができました。瞑想センターについて、ちゃんと調べなきゃ。
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