仕事の関係で、毎月2〜3本のドキュメンタリー映画(長編)を見るんですが、久々にツボにハマった1本をご紹介。
いやあ、泣けました。泣けるドキュメンタリーとしては、昨年の「シュガーマン」以来って感じ。
南太平洋、米領サモアのサッカー代表チームについてのドキュメンタリーです。FIFAランキング最下位(204位)のチームが、何とかして「国際試合で1勝したい」とストラグルするストーリー。
映画の冒頭のエピソードは実に衝撃的です。米領サモア代表は、国際試合でオーストラリア代表に31対0で敗れるのです。31対0。まさに虐殺的なスコアです。
前節(第7節)のJリーグ(J1)で、全9試合の合計ゴール数が22ですから、1試合でJリーグの全得点を上回るゴールを決められたしまったという代表チーム……。
ゴールキーパーが、右に左に身体を伸ばしてセーブを試みますが、それをあざ笑うかのように次々とボールがゴールに吸い込まれていきます。サッカー知ってる人は分かると思いますが、ゴールを決められるのはキーパーが悪いんじゃなくて、ディフェンスラインが機能していないからです。
オーストラリア以外の相手にも、7対0とか8対0とかで米領サモアは負けています。
ちなみに、ジェフ千葉は湘南に6対0で負けましたけどね。先週。これまたディフェンスラインの問題ですよね。根本的には。
出場する試合、試合でボロ負け。しかも得点が1点も入らない。まさに、世界最弱の代表チームです。
このチームが、ブラジルW杯予選に向け、いかにチームを再構築していくか。いかにFIFAランキング最下位の汚名を返上していくか。そのプロセスと結果が感動を呼ぶと。
まず、オーストラリア代表との試合で、31点取られたゴールキーパーのニッキー。
次に、見るからにおオネエキャラ。「第3の性」を持つディフェンダー、ジャイア。
最後に、かつてアヤックスに所属。ヨハン・クライフやジョージ・ベストともプレイした経験のあるオランダ人監督トーマス。
キーパーのニッキーは、「毎晩夢にうなされる」と言います。31被ゴールがトラウマになっているのです。彼は「とにかく1勝したい。そうすれば悪夢から解放され、安心して死ねる」と切実に思っています。
おネエのジャイアは、ルックスもプレイも女子です。女子サッカーのクオリティなので、代表チームで出場機会はないと自認しています。だけど「私はベンチでいいの。ベンチでチームのためにベストを尽くすのよ」とどこまでも前向きです。
オランダ人のトーマス監督は、「代表チームを率いてW杯予選を戦えるチャンスはそうそうない」と米領サモア協会からのオファーに飛びつきます。しかし、赴任してみると、代表チームのあまりのクオリティの低さに呆れかえります。だけど彼は、徐々にチームの魅力にハマっていきます。「このチームは、実にスピリチュアルなチームだ」と。
そして、アメリカのMLS(メジャーリーグ・サッカー)で仕事していたらしく、チームを鼓舞するのが実に上手い。
「お前らがこれから戦うのは、ワールドカップ予選だ! 世界最高の戦いだ! オレはワールドカップの予選に一度たりとも出たことはない。お前ら、自分たちがどんだけ凄いか分かってるか?」的なね。
予告編を貼っておきましょう。
動画が見えない方はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=WnjodVEr8Qo
まあ、とにかくサッカーを愛するすべての人に見て欲しい映画です。ほんと、キャラクターの魅力が素晴らしい。単なる「努力」「友情」「勝利」のストーリーじゃないんですね。
プロデューサーたちは、よくぞこの素材を見つけてドキュメンタリーにしてくれたなと。
願わくば、ジェフ千葉の監督にこのオランダ人監督を呼びたい。マジで呼びたいです。署名運動やろうかな。
「ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦」は、5月17日から公開です。
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