2011年3月31日木曜日

FOMAエリア対応。新しいWiFiルーターが到着

今日は、3月初旬に注文してあったWiFiルーターが届きました。大手ISP(インターネットサービスプロバイダー)のDTI(ドリームトレインインターネット)が提供する、「DTI ハイブリッドモバイルプラン」用のルーターです。何がハイブリッドかというと、FOMA 3G回線を使った7.2Mbpsの通信サービスと、HotSpotを使った無線LANの両方が使えるというわけです。3Gの方はDTIによるMVNOサービスですね。HotSpotの方は、ルーターは使わず、端末からダイレクトに繋ぐことになります。

モバイルルーターはNetIndexの製品。初めて見る端末です。通信連続時間は4時間、待ち受け中だと連続10時間と記されています。

接続料金は月額2980円で使い放題なので、現時点では業界最安値級(厳密にはb-mobileの方が安い)。ただし、端末代が月額630円かかるので合計3610円。ん、ちょっと待って。私はb-mobileのSIMフリー・ドングル持っているので、これ、端末ナシでSIMだけ売ってよって思っちゃいますが、SIMのバラ売りは行っていないのでした。


内容物はこんな感じ。充電の口はマイクロUSBです。ミニUSBとマイクロUSBって、早くどちらかに統一されてほしいよね。

EモバイルのポケットWiFiルーター(右)と並べてみると、大きさはほぼ一緒です。スイッチオンから通信開始までの時間は、Eモバが20秒ちょっと、DTIが30秒ほどで、Eモバの方が短い。


最大接続は5台まで。これはEモバと同じです。ただし、何台接続しているかは表示されないですね。あと、バッテリーの残量も表示されないようです。UIはEモバ端末に軍配。

ただしネットへの接続スピードは、圧倒的にDTIの方が速いと感じます。計測していないので数値を出して比較できないのが残念ですが、明らかに速い。

私たちは、山梨の山奥やら青森の端っこやら、ソフトバンクやEモバイルがあまり繋がらない地域へ出かけることが多いので、大活躍すること間違いなし。これで山奥でもYouTubeが見られるなあ。

これまで、WiFiルーターやUSBタイプのデータ通信端末を購入することは、携帯電話キャリアと契約するという認識でしたが、今回のはISPと契約したという点で新しいですね。その辺がちょっと気になって調べてみたら、DTIはすでに三菱電機傘下ではなくなっていて、フリービットという会社がオーナーになっていました。プロバイダー業より、ServersManという安価なVPSのサービスで有名みたいですね。

いずれにせよ、このWiFiルーター、けっこう売れそうな予感がします。

2011年3月27日日曜日

災害Hack その3 避難時、iPhoneと一緒に持って行きたいもの

今回の地震直後は、安否確認にあたって携帯電話も固定電話も繋がらず、メールやTwitter、それにFacebookやmixiが大活躍したという意見がもっぱら。もちろん私も同感です。だから、地震で避難する際に何を持っていきますか?と聞かれたら、迷わず「iPhone」と答えます。ただし、iPhone単品ではダメなんですよね。

日本におけるiPhoneの最大のネックは、キャリアがソフトバンク(SB)であること。何度も言いますが、ソフトバンクの電波は繋がりにくく、回線の品質も劣悪です。だから、災害時にiPhoneを使い倒すためには、SB以外の回線も確保することが望ましい。

それから、iPhoneのもうひとつのネックは、バッテリーがすぐなくなること。ま、これはSBのせいではありません。以上2点を考慮し、自分なりに「避難する時にiPhoneと一緒に持っていく一連の周辺機器」をパッケージにしてみました。


iPhoneの真上とその右。E-モバイルのポケットWiFiと、b-モバイルのWiFiルーター(b-モバイル=DocomoのSIM入り)をダブルで装備というのはかなり贅沢ですが、これによって周りのパケット難民を10人ぐらいまとめて面倒みられます(笑)。WiFiルーター持ってない人でも、iPhoneとSB以外のガラケー(スマホなら尚可)2台持ちの人は、それで十分こと足りますね。大事なのは、SB以外のキャリアに繋がるデバイスを最低1つは準備しておきましょうということ。

iPhone左上。こちらでも紹介した、バッファローのワンセグチューナーは必需品です。パケットが捉まえられない時でも、TVの電波は届く可能性が高い。災害時、TV(=NHK)は情報収集に極めて重要。

iPhone右手。純正ACアダプターの他に、単3電池の充電器、そしてエネループ製スティックブースターも携帯したいですね。左手にあるケーブル3種類(30PIN、マイクロUSB、ミニUSB)を一緒に持っていれば、iPhoneに加え、WiFiルーターやワンセグチューナーも充電可能。また、停電等でACアダプターが使用できない場合でも、単3の乾電池が入手できれば、スティックブースターでiPhoneや周辺機器を充電できます。

そして写真の右上隅には、ソーラー充電器を置いてみました。停電になり、乾電池も売り切れてしまったら、残るは自家発電しかありません。そんな究極の状況も想定し、ソーラーも用意しておこうと。

しかし今回のパッケージの中で、一番微妙なのがこいつですね。試しに太陽光に8時間ぐらい当ててiPhoneに突っ込んでみます。「チャリン」と音がして充電中の表示が出ますが、なんとたったの5分ほどで充電状態が終了してしまいました。iPhoneの電池スケールの残量目盛りは1ミリも進んでません。取説には「充電時間は晴天下で6〜12時間」とか書いてますが、まったく当てになりません。幸い、この機種はACまたはUSBからも充電できるので、それらで予めフル充電しておき、災害になったら日光を浴びせ続けて最後の出番に備えるというのが正解でしょう。


このソーラー充電器、2000円弱ぐらいで買えるのですが、この程度の大きさ(パネルの面積)ではまともに充電できないということが分かりました。もともとソーラー発電はとても効率が悪いので、受光パネルの面積がそれなりに必要です。ちなみに今、iPhoneに限らず携帯用のソーラー充電器は、ネット通販では軒並み売り切れ状態。この充電器にしても、地震が起きて3〜4日後の時点では入手可能でしたが、今は手に入りません。ソーラー充電器なら、何でも売れるという状態。しかし、ちゃんと使える充電器はそれほど多くないのです。

当面のミッションは、もっと大容量の携帯用ソーラー充電器を入手するということに決定。久々にe-Bayなんかもチェックしています。

今回の地震を機に、携帯用に限らずソーラー発電全般に興味が湧いてきました。ポスト原発時代を担うエネルギーとして、自分の住まいにも導入していきたいと考え始めています。

2011年3月21日月曜日

フェルメール展はガラガラ。マイケル・ジャクソンもあるよ

今日はBunkamuraザ・ミュージアムにフェルメールを見に行ってきました。「地理学者」が3月3日から展示されているのです。


フェルメールの遺した作品は、32点とも36点とも言われていますが、個人的にはこれまで19点を鑑賞済み。折り返し地点をクリアし、これで記念すべき20点目だなと思いきや……。

「フェルメール<<地理学者>>とオランダ・フランドル絵画展」と題された会場に行って、ガラガラの場内を見て回っているうち、何か見覚えのある絵が多いなあというデジャブに苛まれます。

それもそのはず、私たちが2008年にフランクフルトを訪れた際、シュテーデル美術館で見たフランドル絵画たちが大挙来日していたのでした。ということで、「地理学者」も2度目の鑑賞。ここ数年、フェルメール作品が来日した折は無条件に美術館に出かけていたのですが、ついにホーム&アウェイで同一作品を経験する事態に。

もちろん、フェルメールは何度見ても素晴らしいわけで、会場がかなり空いていたこともあって、十分に堪能できました。日本で行われるフェルメール展は、いつも異常な混雑ですからね。


こちらは、5年ほど前にパリのルーブル美術館を訪れたときの光景です。フランドル絵画のコーナーは閑散としていて、幼稚園の先生と子供が絵の前で床に座って大声上げてお勉強しています。懸かっている絵をよく見て下さい。「地理学者」の姉妹作「天文学者」です。フェルメール、子どものおもちゃ状態。当時、日本での特別展でしかフェルメールを見たことがなかった私は気絶しそうになりました。ちなみに、ルーブルではフラッシュ焚かなきゃ写真もOK。

そういえば、今年は6月にも京都市美術館に、「青衣の女」「手紙を書く女」「手紙を書く女と召使」と3点のフェルメールがやってきます。そして来年は「真珠の耳飾りの少女」もやってくる。

今回の地震が、今後の美術系来日イベントに影響を及ぼさないことを祈るばかりです。いま、外国人の間に、日本は危険だから行ってはいけないという雰囲気が蔓延していますが、これは人間だけでなく、美術品にも当てはまるわけで。

おまけです。この展覧会のちょっとしたサプライズは、バーレント・ファブリティウスの「自画像」。


17世紀のマイケル・ジャクソンと呼ばれてますよ。

2011年3月15日火曜日

災害Hackその2 震災に役立つiPhone周辺グッズ

福島第一原発の事故は、まったく余談を許しませんねえ。今日の朝日新聞夕刊には「最悪の事態に備えを」と国民に呼びかけています。

地震が起きてからというもの、自宅のテレビはつけっぱなしになっています。ふだん、ほとんどテレビを見ない我が家ですが、さすがにこの規模の災害となると、テレビがもっとも重要なメディアであることは疑いありません。

こうなると、外出中でもテレビ見たいよなという気分になりますが、ワンセグ内蔵のガラケーはとうの昔に処分しています。iPhoneユーザーの2大不便のひとつ、「テレビが見れらない」に対する現時点でのもっとも有効な解決方は、これでしょう。



バッファローの「ちょいテレ」iPhone/iPad対応版です。確か、昨年の暮れに発売された商品です。そのコンパクトさに惹かれ、1-Click押しそうになった瞬間、ちょっと待てよ、あまりテレビ見ないよなと我に返った記憶があります。

しかし今回、地震の起きた翌日の3月12日にAmazonで購入(1万1130円が7960円になってる)。無料の専用アプリをダウンロードし、早速使っています。外出先でというより、もっぱらテレビ2局同時視聴ですね。福島原発の事故なんか、NHKと民法では報道内容にだいぶ温度差がありますよね。あと、CNNと地上波とかも見比べると全然違う。テレビが2つあると、比較しながら見ることができます。あと、我が家の寝室にはテレビがないので、ちょいテレを接続したiPhoneを枕元に。


思った通り、なかなか使えます。iPhoneでもけっこう見られる大きさですが、iPadならさらにグッド。サッカーの試合でも、ちゃんと選手が認識できる大きさではないかと。


ただ、フルにテレビ視聴していると、1時間半ほどでバッテリーが切れてしまいます。そんな時はこいつの出番。エネループのブースターでも充電可能で(マイクロUSB)、小一時間ほどで充電完了します。PCのUSBからだともっと早いかな。今のところ、充電しながらのテレビ視聴は不可能ですね。


さて、iPhone2大不便のもうひとつ、「おサイフケータイ」について残念なお知らせ。今年発売されるiPhone5には、NFC(Near Field Communication)チップが内蔵され、Felicaを含む国際的なIC決済に対応するという噂が出ていましたが、このCNETの記事によると、どうやら見送りになるようです。残念ですが、来年には是非。

2011年3月12日土曜日

今回の地震で分かったこと。災害Hack

2011年3月11日、東日本を襲った大地震から24時間が経ちました。地震のあった時、私は中央区の勤務先にいて、会社のスタッフたちと築地本願寺に避難しました。


家族や知人と連絡を取るのに、皆大変苦労していたわけですが、地震などの災害の際、もっとも重要なのは「情報収集」そして「安否確認」の2点だと思います。

まずは「情報収集」ですが、これは圧倒的にツイッターでした。地震発生後、私のツイッターのタイムライン(TL)はあっという間に地震情報一色に。ただ、地震直後は、皆浮き足だっているのと、野次馬根性が発揮されるせいか、ガセ情報も次々出てきます。

私のTLにも、「フジテレビが火事だ」とか、「昭和通りが陥没してる」とかいうのがあって、あやうく拡散しそうになりました。もちろんガセ情報です。でも、いわゆるインフルエンサーとかパワーブロガーたちが、次々に正しい情報をツイートしてくれますから、それを信じていれば大丈夫です。

次に「ツイッターにどう繋ぐか」というのが実は重要。災害が起こると、携帯電話は繋がらないし、固定電話も繋がりにくい状況が続きます。今回、意外に役に立ったのがWiFiルーターです。地震直後、会社に常設してあるWiFiルーターはちゃんと動いていて、社内にいる間は、ネットをみたりメールを送ったりという部分では不便を感じませんでした。

ところが、iPhone握りしめて外に出てしまうと、ソフトバンクの電波は心許なく、通話はおろかパケット通信も不安定になってしまいました。SMSも届きません(24時間経っても届いてない)。

しかし、E-mobileのポケットWiFiを持ってiPhoneを使ってみたところ、ツイッター(やネット)にさくさく繋がります。これは「安否確認」でも有効です。G-mailやMobile MeのメールをWiFi経由でやりとりする分には、特にストレスなくできたのです。

携帯電話網がダメでも、WiFiが繋がっているのであれば、SkypeやViberなどのアプリ経由で通話も可能です。今日になって、ソフトバンクやライブドアが、公衆無線LANスポットを無償で解放したのも、同じ趣旨ですね。

ですから現時点では、災害に備え、携帯プラスWiFiルーター持ち歩きというのが理想だと思います。ただ、E-mobileはサービスエリアの問題もあるので、どのキャリアのルーターを選ぶかは、よく考える必要がありますね。

今月サービスインのこの製品なんか、料金的にもサービスエリア的にも最強になりそうな予感です。


最後に、今回フェイスブックもチェックしていましたが、そこでは私の友人たちが元気いっぱい発信しているのを確認できるだけで、(ITリテラシーの低い)親や妹たちの様子は分かりませんでした。現時点では「友人の安否確認」という限定的な役割しか担えないかも知れません。でも、もっとユーザーが増えたら、本当に役に立つのはツイッターよりフェイスブックだろうという気もします。ひょっとしたら、「国民全員の安否確認」ができるサービスになるかも知れないわけで。

いずれにせよ、それほど被害の甚大でなかった東京での話。宮城や岩手や福島あたりでは、ネットに繋ぐどころの話ではなかったでしょうから。

2011年3月10日木曜日

ソーシャル自分史作成サイト、メモレーンが凄すぎる件

ツイッターのTLで、memolaneというサービスが話題になっていたので、早速登録してみました。

過去に撮影した写真(Picassa、Instagram)や動画(YouTube)、過去のチェックイン(forsquare)、過去のツイート(Twitter、Facebook)などが、デイリーのタイムラインにぶら下がって表示されます。


写真の拡大は同一画面上で行われます。動画も同様。


forsquareは、その日にチェックインした場所が地図上に一覧表示されます。地図拡大もこの通り。



なんで六ヶ所村がギニア湾にあるねん!

まさに自分史、ライフログ・タイムラインです。ちょっと感動しましたね。memolaneのTOPのコピーは「See, Search, & Share your life.」です。


連携できるアプリは、12あります。取りあえずPicassaやFlickrに放り込んでおいた写真も、すべて遡って見ることができるので、なかなか便利。ま、便利というか、懐かしむという方が正しい。

シェアするというよりは、過去の日々やらイベントやらを思い出してほくそ笑むためのツールでしょうね。検索窓で日本語が使えないのが玉に瑕ですが、いずれ対応してくれることでしょう。

今月のサプライズは、iPad2よりもmemolaneでした。個人的には。

2011年3月6日日曜日

みちのく一人旅 with インスタグラム and フォースクエア


週末を利用して青森県の実家に帰省しました。折しも、東北新幹線にはやぶさ(およびグランクラス)が投入されたのと同じ日に、羽田→三沢便で空の旅です。

三沢空港から私の実家までは車で2時間ほどかかります。この間、恐ろしく退屈な景色が続きます。そこで今回は、退屈しのぎにソーシャルメディアで遊びながらドライブすることにしました。インスタグラムとフォースクエアです。

羽田空港の駐車場からチェックイン(フォースクエアの)を始めます。今回はJALなのでP1に駐車&チェックイン。フライト後、三沢空港にチェックイン。三沢空港はメイヤー行けそうです。今回は、帰りも三沢空港から飛行機なので、翌日チェックイン忘れないように、と。

余談ですが、チェックインといえば、最近の国内線はカウンターでのチェックインはおろかWebチェックインも省略されてて、いきなり手荷物検査場でバーコードかざしてゲートで搭乗という流れになってるんですよね。つまり、チェックイン(搭乗手続き)不要(バゲッジがない場合)。

さて、三沢空港からレンタカーで北上します。六カ所村を通りかかった際に、白鳥がたくさん浮かんでいる湖を見つけました。iPhoneでパチリ。インスタグラムのエフェクトがいい感じです。青森県は、冬に白鳥がたくさん飛んでくるのです。


六カ所村は、さながらエネルギー銀座です。原燃関連の施設に加え、大がかりな石油備蓄基地、そして、何十本もの風力発電用風車がそびえ立っています。風車の根本まで車で行くことができます。ブン、ブンと不気味な音をたてて回る風車をパチリ。


六カ所からさらに北上すると、東通村に入ります。この村は、原発を誘致した見かえりで、村中の施設がギンギンのデザインで新築されています。


ほら、この交流センターなんか、トトロみたいなデザインです。インスタグラムはレトロな感じのエフェクトで。この辺り、地理的にかなり辺境なので、フォースクエアに周辺のスポットはまったく登録されていません。

青森県の太平洋岸、津軽海峡はイカの豊富な漁場です。こんなデカいイカの看板を時折見かけます。このいさりびハウスってお店は海産物中心の土産物屋です。


イカ in the Sky。シュールですねえ。

結果、三沢空港や羽田空港P1駐車場などいくつかのメイヤーシップを獲得しました。だけど、チェックインしようがメイヤーになろうが何も起こりません。海外ではチェックインだけで色んなことが起こりますが、日本ではまだまだジオ系アプリの夜明けは遠い。

面白かったのは、三沢空港周辺に、米兵さんが登録したと思しき色んなスポットが登録されていたことです。スポット名が日本語でなく英語で登録されているのですぐに分かります。カフェとかバーとか、レストランとか。日本におけるアメリカ人の多いエリアは、フォースクエアがそこそこ普及しているみたいです。これは世界的に同じ傾向かも知れません。これ、ここ1〜2年の個人的研究テーマ(つか、旅の楽しみ)になるかも。

そんなわけで、次に三沢に来るのがちょっぴり楽しみになってきました。次は八戸まではやぶさで来るかな。グランクラスも乗ってみたいぞ。

2011年3月5日土曜日

銀座そば屋マップに重大な変更が

夜10時ちかくまでかかった会議の後、深夜2時まで営業している昭和通り沿いの「流石」に行くことにしました。銀座〜築地界隈は、ハイブロウな日本そば屋が数多く存在していますが、その中でも出色と言える店です。そば屋は普通早じまいですが、深夜でも極上のそばが食べられるという点で貴重この上ない。

遅い時間でも混み合っていることが多いので、電話を一発入れてみます。と、「昭和通り沿いの流石は夜10時までの営業に変わり、流石・別館が2時まで営業しております」との返事。なんと、しばらく訪れていない間に別館がオープンしていました。


別館の場所を尋ね、あちこち迷いながら辿り着いてみると、そこはかつて「古拙」というそば懐石の店があったところ。ミシュラン一つ星で鳴らした古拙が、流石に店を明け渡していたのです。カウンターに落ち着くや、流石のおかみに事情を尋ねてみました。

もともと、伊豆・修善寺の朴念仁をルーツにする両店ですが、本家の流れを引く古拙が撤退することになり、分家の流石が義理を立てて、古拙を居抜きで引き受けたということのようです。ま、大人の事情が色々あった模様。

流石は、昭和通りの本店以外に中央区湊に「はなれ」というそば懐石の店も出しており、この「別館」で合計3店舗ということになります。すなわち、中央区ではベットラか流石かという感じですね。


半年ぶりぐらいに訪れた流石ですが、相変わらずここのそばは素晴らしい。板わさやらニシンやら野菜の天ぷらで腹を満たし、締めは玄白そばです。2種類のそばが楽しめます。

まずは「白」。十割のせいろです。このそばの細さがたまらない。


続いて「玄」。殻ごと挽いたそばです。これまた細い。黒いのに細い。


堪能しました。また近いうちに訪れること確実です。本店はランチ営業がありますが、別館は夜だけの営業とのこと。この日も、夜11時過ぎてからどんどん客が現れて、なかなか賑わっていましたよ。2軒目、3軒目の客も多いので、声のデカイ客がちょっとうるさいのが玉に瑕ですが。

2011年3月1日火曜日

アカデミー賞の結果にがっかり

今日は朝からアカデミー賞の授賞式をTVで見ていました。毎年恒例です。結果はこちらでどうぞ。

まず、授賞式の結果そのものは、今年の日本の映画興行にとって非常に素晴らしいものとなりました。


公開されたばかりの「英国王のスピーチ」が、作品賞ほか4部門を受賞したのはタイミング的に完璧です。明日からこの作品に映画ファンが押し寄せるのは間違いありません。また、ナタリー・ポートマンが主演女優賞を受賞した「ブラック・スワン」にしても、配給会社は体制をしっかり整えて、5月からの公開に備えることができる。助演男優賞・女優賞受賞作で、3月26日から公開される「ザ・ファイター」しかりです。

一方、残念ながら主要部門を逃してしまった「ソーシャル・ネットワーク」は、これで潔く興行を終えることができます。

思いがけず、テクニカル部門など4部門も受賞した「インセプション」ですが、こちらはビジネスに影響はないでしょう。劇場公開、DVD、VODとすでに十分にヒットしているし、今回の受賞内容が今後のビジネスをさらにボリュームアップするとは思えません。

とにかく、これから公開を迎える(あるいは公開したばかりの)映画にオスカーが多数転がり込んだということは、当該作品にとって宣伝費をかけずに興行収入を最大化するビッグチャンス。ひいては、映画興行全体にとっても大きなプラスというわけです。

それでは、第83回アカデミー賞の選考についてはどうだったのでしょうか? 個人的には、大いに不満です。

もちろん「英国王のスピーチ」は、下馬評でオスカー最有力でした。私も映画を見ましたが、本作がオスカー作品賞に足る作品であることは十分認めます。しかし、それでも私は「ソーシャル・ネットワーク」に取って欲しかったし、同作が作品賞を取るべきだと思っていました。

「ソーシャル・ネットワーク」は素晴らしかった。でも、その疾走感とエネルギー、ねじれた成功と皮肉に満ちた内容は、アカデミーの老人たちには刺激的、あるいは反道徳的すぎたのかも知れません。そもそもアカデミーのメンバーたちは高齢なので、実際にフェイスブックを使っている人もそれほど多くなさそう。

そしてアカデミーは、ワインスタイン兄弟の「錬金術」にまんまとハメられてしまった。英国王室という、おなじみだけど特別の舞台、ハンディキャップを持つ国王、それを克服するための苦労と苦悩、そして超のつく演技派の俳優たち。

確かにいい映画です。安心して親に勧められる映画。……にしても、こんな古色蒼然たる映画が、2010年度最高の映画でいいんでしょうか?

2011年、ソーシャルメディアが世界を変えている(エジプトやチュニジアのことです)時代に、10年前、いや30年前だって作れた「英国王のスピーチ」が何でオスカーなの? 真っ当な映画だけど、時代的な必然性がみじんも感じられないのです。

「ソーシャル・ネットワーク」じゃないのなら、作品賞は「インセプション」にあげて欲しかった。今回、視聴率対策で、授賞式の司会者を若返らせた(アン・ハサウェイとジェームズ・フランコ)までは良かったかも知れませんが、賞の本質までは変えられなかったと。

シュターテ。本当に残念です。

しかし、「英国王のスピーチ」の名誉のために言えば、受賞者たちのスピーチは皆素晴らしかった。スピーチを題材にした映画で受賞しているだけあって、他の受賞者たちとレベルがまるで違いました。皆、受賞したら最高のスピーチをしようと約束して実践したんだと思います。個人的には、ジェフリー・ラッシュのスピーチが聞きたかったんですが。