2015年8月5日水曜日

ああ面白かった「ミッション:インポッシブル」。プラス今月のもう一本

いやあ、とっても面白かったですわ「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」。正直、驚きました。

当初、全然期待していなかったんですよ。なにしろ年末のクリスマスシーズンに公開される予定だったのに、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」との競合を避けて半年も公開を繰り上げてきた段階ですでに怪しいわけで。シリーズも5作目を数えて、いよいよトム・クルーズもヤキが回ってきた感じ? なんて勝手に想像していたら、先週全米で公開されて、そのレビューが「シリーズ最高傑作!」って感じでめっちゃポジティブなのを知って俄然見たくなったと。

で、神谷町の試写室で見てきたら、非常に素晴らしかったわけ。

何が素晴らしいかって、脚本が素晴らしいんですよ。


冒頭、テレビCFなどでも大フィーチャーされている、トムが軍用機のドアにしがみついたまま滑走路から離陸するアクション・シークエンス(そう、これは実は冒頭にあるんです)。のっけからもう、最高に気が効いてるんです。実はこのシークエンス、サイモン・ペッグやジェレミー・レナーがトム・クルーズと絶妙な絡みを展開していて、ボケ→アクション→ボケ→ツッコミ→ボケ→アクション→ボケみたいな重厚な構成になっているんです。

この冒頭を見ただけで、凡百のアクション映画とは明らかにレベルが違うことがお分かりいただけます。

おそらく、この10分ぐらいの冒頭シーンの脚本が、「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」1本分の脚本と同じぐらいの厚さなんじゃないかと想像できますw。

……まあその代わり「マッド・マックス」は3500枚におよぶ絵コンテがあって、それを次々に映像化していったという代物で、それはそれで極めて変態的な創造物です。だけど「マッド・マックス」には複雑な物語はありません。目と耳と皮膚で見る映画って感じでしょうか。

一方、今回の「ミッション:インポッシブル」(以下「M:I」)は、ちゃんと頭も使って見る映画ってことですね。骨太なプロット、ストーリーのツイスト、散りばめられたウィット、謎に包まれたキャラクター。もちろん、カタルシス溢れるアクションも。

これ、いったい誰の仕事なのか?

「M:I」は、5作品すべて監督が違います。ブライアン・デ・パルマ→ジョン・ウー→J・J・エイブラムス→ブラッド・バードときて、今回はクリストファー・マッカリーにバトンタッチ。で、このクリストファー・マッカリーが監督に脚本に非常にいい仕事をしてるんですね。

マッカリーはもともと、95年に「ユージュアル・サスペクツ」でオスカーの脚本賞を受賞していて、ストーリーテリングには定評があります。トム・クルーズ作品は「ワルキューレ」「M:I 4」「アウトロー」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と4作品で脚本を担当しています。「アウトロー」では監督も。

もうトム・クルーズは、今後すべての作品について、クリストファー・マッカリー監督・脚本ってことでイイんじゃないでしょうか。トム組の座付き監督。今作のクオリティーを見る限り、トムにとってそれがベストチョイスと思われます。


あと、スパイガジェットについてもひと言。もうね、完全に時代が「M:I」に追いついちゃいましたね。1作目の頃は、作品に登場するガジェットはまだ近未来な感じがしていた記憶がありますが、今作のキャストたちが使っているガジェットは、スマートフォンやらタブレット(Windowsだった)やら、いま我々が使っているガジェットと何らかわりません。オンラインバンキングのシーンなんかもありますが、「そんなの日常だよな」って感想しかない。

これが逆に、作品にリアリティをもたらしているんですね。アクション以外のシーンはかなりリアル。これは新鮮でした。

「M:I」シリーズはこれまですべてスクリーンで見ていますが、今作は初めて「心の底から面白い」と思った作品でした。もちろん、シリーズ最高傑作だと断言できます。8月7日公開。お楽しみに!

そして8月はもう1本、ドキュメンタリーに傑作がありました。

「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」

セバスチャン・サルガドは、報道カメラマンとして世界中の途上国や紛争地域を訪れ、(対象、構図などすべてにおいて)奇跡としか言いようがない写真の数々を発表してきたカメラマンです。写真はほとんどがモノクロです。

もう、この映画はとんでもない代物です。今年のオスカーにもノミネートされてました(ドキュメンタリー部門)が、その理由は見れば分かります。まず、サルガドの数々の傑作がどうやって生まれていたかが非常に良く分かる。並外れた忍耐と執念と根性、そして機動力こそがカメラマンに奇跡の一枚をもたらすんだということがもの凄い説得力で伝わってきます。プロのカメラマンの方にこそ、是非見て欲しい映画です。


例えばこのアザラシの写真が、どうやって撮影されたのか。ん? アザラシじゃなくてオットセイかな。

そして、彼がルワンダをはじめとするアフリカ諸国で、あまりに凄惨な場面の数々に遭遇し、魂を病んでいく過程が自らの口から語られます。ここら辺は「閲覧注意」な写真の連続なんで、けっこうキツいんですが、まあ映画の中ではもの凄く重要なシークエンス。

で、その後に続くエピソードが、実に、実に感動的なんですね。

ヴィム・ヴェンダースが共同監督でクレジットされてますが、彼は実はそんなに仕事はしていません。興行にプラスになるべく大きくクレジットされていますが、まあ、本編見ちゃったら、ヴェンダースなんかどこかにいっちゃいますから。

今年のドキュメンタリーでは、今のところ断トツナンバーワンです。公開中。 

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