2016年2月13日土曜日

やはり超絶残念だった「杉原千畝」。想定してたけどさ

日本映画はほとんど見ませんが(概ね出来がヒドイから)、時々見ようと思うものが現れます。そう、今回見たいと思ったのは「杉原千畝 スギハラチウネ」です。ユダヤ研究は私のライフワーク。となると、第二次大戦中にリトアニア領事としてユダヤ人に大量のビザを発行した杉原千畝はやはり避けて通れない。

そんなわけで、昨日「サウルの息子」を見た興奮がさめやらぬまま、今日は蒲田くんだりまで行ってきました。都内はもう蒲田宝塚でしか「杉原千畝」を上映してない。


……まあね、所詮日本のテレビ局が作った映画ですよ。想定はしていましたよ、だけどあんまりだよねえ……。

この映画は、原作というか底本があって、そのタイトルが「諜報の天才 杉原千畝」というのです。杉原千畝って、例のユダヤ人に発行したビザの件は有名ですが、実は対ロシアのスパイ工作をずっとやってて、その成果がなかなか素晴らしかったのでも知られてるんですよ。で、ソ連当局から「Persona Non Grata(好ましからぬ人物)」認定されちゃうんですよ。モスクワの日本大使館に赴任するはずが、ソ連当局からNGくらっちゃう。

だから期待していたわけですよ。「諜報の天才っぷりが見られるかな」「日本のスパイってどんな活動やってたのかな」って楽しみにしてた。ユダヤにビザ切ったのも、「ユダヤの諜報機関と深い関係があったんじゃね?」って思ってた。


始まって5分ぐらいのところで、それっぽいシーンが出てくるんですよ。列車の中で、食堂車のウェイターと千畝(唐沢寿明)がすれ違いざま、ウェイターの持ってるトレイの下で書類をやりとりする。だけど、それに気づいたソ連のスパイが通路を走って追っかけてきて、コンパートメントで銃を千畝に突きつける。すると、背後からイリーナという千畝の協力者の女が現れて、手に持った花瓶を敵スパイの頭にガッシャーン!ってやって助けるというね。出来の悪いスパイ映画によくあるようなクソみたいなシーン。

もうね。冗談抜きで、ここで私は映画館を出ようと思いましたよ。「ルパン3世」じゃあるまいし。何やってんだと。

千畝が諜報やってるカットはいくつかありましたが、まったく緊張感がなく、基本「千畝=いい人」描写に終始してます。残念です。

あと、千畝ってロシア人と結婚していたんですけど(後に離婚)、この映画では幸子という2番目の妻との生活が割かし多めに描かれています。

幸子は小雪が演じているんですが、これがまたね。全部イラネ。小雪が出てくるシーンまったく不要なんですけど。ここを全部カットすれば2時間未満に楽勝で納まるのに! 何でやねん?

ああ、思い出すたびに腹が立ってくる。これ以上書くの止めます。一応、映画は最後まで見ました。★一つ半(満天は★5つ)。監督はチェリン・ブラック。ってこの人ユダヤ?

日本のテレビ局が作る映画って、所詮このレベルなんだよなあと、母国の映画産業を恥じ、これをお金払って見てしまった自分を恥じ、昨日見た「サウルの息子」とのあまりのギャップに頭クラクラの土曜日でした。

惜しむらくは、千畝の出したビザで日本にやってきたユダヤ人の末裔が、何人かでもいいから日本に残ってくれて、日本の映画産業の礎を作ってくれたらよかったのになあとw


せめて、「諜報の天才 杉浦千畝」という本は買って読もうと思います。 


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