今回、ニューヨーク滞在中に、ライブを2本見る予定にしていました。1つは、イスラエルのイダン・ライヘル・プロジェクトのライブで10月27日にビーコン・シアター。
イダン・ライヘルは、私的には今年知ったアーティストですが、アルバムはすべて購入し、ほとんど毎日こればかり聞いてるというハマリっぷり。その模様はここら辺で書きました。
もう1つは、ニティン・ソーニーで30日のブリック(ブルックリン)。
ニティン・ソーニーは、イダン・ライヘル以前にもっともハマったアーティスト。インドから移民した両親の息子で、ロンドンがベース。ポール・マッカートニーやブライアン・イーノともコラボレーションしています。
両者ともに、ワールドミュージック業界ではかなりの名声をもつアーティストで、この2本のライブが同じ週に同じ都市で見られるってのはかなり運がいい。「ニューヨーク・ワールドミュージック・ウィーク」と勝手に名付けて大いに楽しみにしておりました。もちろん、チケットもTicketmasterで購入済み。
ところが、渡航前にニティン・ソーニーのライブがキャンセルになってしまいました。キャンセルの原因ははっきりアナウンスされません。残念ですが、ニティンのライブは、ロンドンやシンガポールで何度も鑑賞しているので、まあよしとしましょう。
ニティンのUSツアーは、ニューヨークを皮切りに、ボストン、LA、サンフランシスコの4都市で行われる予定でした。一方のイダン・ライヘルのUSツアーは、それよりはるかに大規模です。
10月9日のタスカン(アリゾナ)ですでにスタートしており、LA、サンフランシスコ、リノ、デンバー、マイアミ、アトランタ、ワシントンDC、ヴァージニア・ビーチ、フィラデルフィア、ポート・ワシントン、ストーズ(コネティカット)、ニューヨーク、ベツレヘム(ペンシルバニア)、アムハースト(マサチューセッツ)、ポツダム(ニューヨーク)……なんと全米16都市を縦断するという大ツアー。最後のポツダムが10月30日ですから、まるまる3週間にわたる全米行脚の旅。
そんなにたくさんの会場でやって大丈夫なの? ちゃんと集客できんの?
英語の歌が1つもない、ワールドミュージックのアーティストが、全米16都市をツアーするという事実が、にわかには信じられません。ニューヨークとかロサンゼルスのような、文化度の高い都市についてはまあ分かります。しかし、リノとかマイアミとか、およそワールドミュージックとは縁のなさそうな、ネオンギラギラの都市まで日程に入っている。
いったい、どういうことなんでしょう。
そんな疑問に対するヒントがYouTubeにありました。イダン・ライヘルの出世作ともいえる「Bo'ee」という曲のライブ演奏です。素人さんがホームビデオで撮ったもの。
動画のタイトルを見てビックリ。
Bo'ee (Come With Me) malibu california 10-16-2011
なんと、場所はマリブです。マリブと言えば、ロサンゼルス近郊の大金持ちがたくさん住む高級住宅街ですよ。そんなマリブの、しかも屋外の仮設ステージでイダンが演奏しています。2年前のフッテージです。
曲の途中でイダンが客席をうながすと、客たちがヘブライ語で歌のサビを合唱するではありませんか。
推察するに、これはマリブのユダヤ人コミュニティが主催するイベントで、そこにイダンが招かれて演奏しているということでしょう。
日本人で例えるならば、サザンオールスターズがロサンゼルスのリトルトーキョーの駐車場で行われたニッポンフェアーで30分ほど演奏するために招かれた、みたいな感覚でしょうか。
それにしても、こんなショボいステージでやるために、わざわざイスラエルから出かけて行くんでしょうか。
行くんです。イダンは母国同様、北米のユダヤ人たちの間で人気者になってるんじゃないかと推測できます。マリブだったら、ギャラも相当高いだろうし、ショウビズ界の有名人も多数住んでるだろうし。大事な営業ですよね。
見えない方はこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=Ckak7u2caDE
日本の商店街によくある、イベントに取ってつけたようなステージじゃなく、お客さんに歓迎されている様子がよく分かります。集まったお客も、何だか裕福そうに見えますよ。
どうやら、イダン・ライヘル・プロジェクトの公演は、各地におけるユダヤ人コミュニティが集客のベースになっているのは間違いないでしょう。動員について、地元のユダヤ人脈が請け合ってくれることは明白。だから、全米各地で興行が成立するわけだな。
つまり、私が見に行くのは、ニューヨークのユダヤ人の集会ってことのようです。なんだか面白くなってきた。
ということで、会場のビーコン・シアターに行ってみましょう(続く)。
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