2013年2月27日水曜日

今年のオスカー、最大の慶事は「シュガーマン」の受賞ということで異存ないでしょ

第85回アカデミー賞が発表されました。

今年の初め、賞レース序盤は「リンカーン」が本命視されていましたが、その後ゴールデン・グローブ賞や全米の組合賞を次々「アルゴ」が制し、流れは完全に「アルゴ」。しかし、監督賞にベン・アフレックがノミネートされていなかったため、やや波乱含みの予感はありました。


オスカーでは、例年、作品賞と監督賞はセットで受賞が常識です。「スラムドッグ・ミリオネア」が作品賞だったら監督賞はダニー・ボイル。「ハートロッカー」が作品賞なら監督賞はキャスリン・ビグロー。10年に1回ぐらい、作品賞と監督賞がバラける例外はあるのですが、それでも作品賞の監督は、監督賞ノミネートの5人には入っているのが普通。しかし、今回ベン・アフレックはそこにノミネートされていないという大珍事。これをどう理解するか?

もしかしてベン・アフレックって、ハリウッドの長老たちに嫌われてんじゃないの?という疑問が湧きますよね。なんつったって「パール・ハーバー」で主演男優をやっちまったという特大の汚点もありますし。

結局のところ真相は分かりませんが、「アルゴ」は賞レースの勢いのままに作品賞、脚色賞、編集賞をきっちり確保して、ベン・アフレックもプロデューサーとしてオスカー握ってスピーチできたし、まずまず納得感の高い結果だったと思います。全般的に、受賞者は若い世代の実力者が順当に選ばれて、うまく「若返り」が実現できた感じ。助演女優賞のアン・ハサウェイとか、主演女優賞のジェニファー・ローレンスとかね。司会のセス・マクファーレンもなかなかハマったと思いましたが、「来年はもうやんない」って言ってるとか言ってないとか。


さて、今年の授賞式で私がもっとも注目していた作品はこれ。


「シュガーマン」です。長編ドキュメンタリー部門でノミネートされていた作品。これが凄い話なんですわ。「世の中にこんな話が本当にあるのか」と誰もが思うはず。

1960年代後半に、アメリカでレコードデビューしたロドリゲスというアーティストにまつわる物語です。ロドリゲスは「ボブ・ディランに匹敵する才能」と称され、ブッダレコード傘下のレーベルからアルバムを2枚出します。しかし、このアルバムがいずれも不発。そのままミュージック・シーンから姿を消してしまい、「失意のあまりステージでピストル自殺した」「いや、本当は焼身自殺だ」など噂されながら、人々の記憶から完全に消えてしまった。

そんな経緯ですから、おそらく、このロドリゲスというミュージシャンのことを知っている人は、当時もその後も日本にはほとんどいなかったはずです。もちろん、私も今回の映画を見て初めて知りました。しかし、ロドリゲスの楽曲は数奇な運命をたどるのです。ロドリゲス本人のまったく知らないところで。

北米大陸の反対側、アパルトヘイト真っ只中の南アフリカで、ロドリゲスの楽曲は歌い継がれていました。誰かがアメリカ西海岸から南アに、彼のレコードを持ち込んで愛聴&拡散していたんでしょうね。アパルトヘイトの圧政に反対するリベラルな若者たちの間で、ロドリゲスの楽曲はアンチ・アパルトヘイトのアンセムになっていました。そもそもロドリゲスの曲は、年代的にプロテストソング。だから、南アの体制に反抗的な人々にうまくマッチしたというのがミソ。

アルバムは勝手にCDにプレスされ、ラジオでオンエアされ、南アでは国民の2人に1人がロドリゲスを知ってる、という状況になっていました。しかし、アーティストのプロフィールはまったくの謎に包まれ、件のピストル自殺説、焼身自殺説にたどり着くのみ。90年代、インターネットの時代になって、現地の音楽ジャーナリストが使命感に駆られてロドリゲスの消息を追い始めます。2枚のアルバムを出した後、彼はどんな人生を送ったのか。音楽はやめたのか。本当に自殺したのか。

映画の原題は「Searching for Sugarman」。シュガーマンを探して。「シュガーマン」というのは、ロドリゲスの代表曲の一つです。

ジャーナリスト氏は、「ロドリゲスというミュージシャンをご存知ありませんか?」という書き込みを、写真とともにインターネットのあちこちの掲示板に放り込んでいきます。そんな草の根な捜索をはじめてしばらく経った頃、アメリカ北中部のとある町から返信が! 「その人物は、私の父だと思います」と。

ここから先は書けません。ほんとヤバい。


「シュガーマン」、私にとって今年のベストワン映画です。まだ2月ですが、これが今年のベストだと断言できる。もちろん、自分にとってのベストですよ。

この映画を見てからというもの、毎日「シュガーマン」のサントラを聴いています。映画を見てしまうと、ロドリゲスの音楽が、頭に残って離れなくなるんです。

3月16日から公開です。必見。


2013年2月5日火曜日

ロンドン、おまけ


マラケシュ(RAK)からロンドン(LGW)に帰ってきました。1泊して、翌日日本に帰る旅程。

ロンドンに着いたのは16時過ぎでしたが、ホテルに着いたらもう日が暮れてしまっていたので、遊びに行く気分でもありません。とはいえ、せっかくのロンドンなので、コベントガーデンのアップルストアをひやかしに行ってみましょう。


ここは、世界で一番フロア面積の大きなアップルストアだそうです。ライブイベントなんかもしょっちゅう行われているみたい。確かに広い。銀座のアップルストアとどっちが家賃高いだろ?

日本では見かけないガジェットもありますね。「zeo」ってやつ、気になりますね。睡眠中の脳波を測定するんでしょうか?

面白いのは、このアップルストアのすぐ近くには、アップル・マーケット(Apple Market)があるんですよ。Apple Marketといっても、リンゴを売ってるわけではなく、アンティーク屋さんなんかが並ぶマーケット。

ワルザザートで盗まれたiPhoneの代替機をアップルストアで買おうかなと一瞬思ったのですが、64GBモデルのiPhone5が699ポンド。およそ10万円!

タッカい。

SIMフリーiPhone買うなら、やっぱ香港ってことですか。気になったので、香港のAppleサイトをチェックしたら、64GBのiPhone5が8万円ぐらいです。この2万円の違いは何? 為替なのか、タックスなのか。

その後、チャイナタウンで夕食にしたのですが、日本食のレストランがかなり浸食してきていますね。お好み焼きの店とかできてて驚いた。

翌日は、ヒースロー(LHR)から帰国です。ヒースローエクスプレスに乗ったら、アプリの広告が車内のディスプレイに掲載されていました。


早速DLしてみます。駅でキップ買わなくても、アプリで購入できる仕組みです。このアプリを持っていれば、ギリギリでもキップ買わずに飛び乗ることができますね。ヒースローエクスプレスは改札がないですからね。

車内には無料のWiFiが飛んでいるから、ソフトバンクのiPhoneでも買えるんです。
……でも、このWiFiがクッソ遅いんだよね。要注意。

このアプリ、次回ロンドンに行った際にチャレンジですね。