2016年3月1日火曜日

ディカプリオ受賞で盛り上がった第88回アカデミー賞に関する覚え書き

映画業界最大のお祭り、第88回アカデミー賞の授賞式が終わりました。例年、授賞式の日は朝から会社に集まって、皆でテレビ中継を見るのがならわしです。

一夜明けて3月1日。2016年のオスカーを、極めて個人的な視点で振り返ります。箇条書きでいきます。


・司会のクリス・ロックは、テンポもノリも絶好調だったが、人種差別トークはトゥーマッチ。俳優部門で2年連続白人ばかりがノミネートされていることについてのネタなんだが、ちょっとクドかった。いずれにせよ冒頭のクリス・ロックのトークで、今授賞式のキーノートが「機会平等」「差別反対」という設定になっちまいました。

・「白人だらけ」解消のなせるわざか、プレゼンターは黒人が多かった印象です。驚いたのは、イ・ビョンホンとプリヤンカ・チョープラーがプレゼンターで登場したこと。アジア枠が設定されたんですかね。来年はこの枠に中国人が絶対出てくると思います。別イベントですが、プリヤンカの写真貼っておきます。ボリウッド女優らしいゴージャス感。


・授賞式で一発目の発表は「脚本賞」。これが「スポットライト」に渡りました。作品賞も「スポットライト」でしたから、最初と最後の賞を「スポットライト」がせしめたことに。

・作品賞が「レヴェナント」じゃなかったのは、恐らく、イニャリトゥに2年連続で作品賞を渡すのを嫌った人たち(主に俳優の会員)が、消去法的に「スポットライト」に投票した(一位投票した)んじゃないかと。「さすがにメキシコ人に2年連続はあり得ないじゃない〜。でも、『マネー・ショート』は難しすぎてよく分からなかったしぃ、しょうがないから『スポットライト』に入れたわよぉ」てな感じでさ。

・DGA賞が「レヴェナント」のイニャリトゥだったので、オスカー監督賞はイニャリトゥで鉄板。ここはブレなかった。

・ディカプリオが受賞スピーチで謝辞を捧げていた数少ない人物に、リック・ヨーンという男がいました。「業界での生き方を教わった」と感謝するディカプリオ。気になったので調べてみると、彼はLBIエンターテインメントというタレントエージェンシーのスタッフで、ディカプリオのマネージャーらしい。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「アビエイター」「ギャング・オブ・ニューヨーク」でもプロデューサーとしてクレジットされています。


・ディカプリオと、イニャリトゥ監督が揃って謝辞を述べていた人物に、アーノン・ミルチャンという男がいました。彼はハリウッドの偉大なプロデューサーで、今年のオスカー案件では「レヴェナント」の他に「マネー・ショート」も手がけています。去年は「バードマン」と「ゴーン・ガール」。その前は「それでも夜は明ける」。何気にこの人も3年連続でオスカーにずっぽり絡んでます。今回、「レヴェナント」は撮影期間が伸びに伸びて、バジェットも大幅にオーバーしてしまいましたが、そのケツを持った男のひとりが、このアーノン・ミルチャンであったことは間違いないでしょう。業界の大旦那ですね。

・「レヴェナント」の白魔術的カメラワークで撮影賞を取ったエマニュエル・ルベツキは、3年連続受賞という偉業達成。しかし、スピーチがクソつまらなかったのは残念。下の写真は「ゼロ・グラビティ」の年のオスカー。


・ところで、ルベツキが撮影監督を務めた作品が、今年あと2本あるのご存知? 「Knight of Cups」と「Weightless」。いずれもテレンス・マリック監督の作品です。見てえぇぇ! 問題は、日本で公開されるかどうか。

・脱線その2。イニャリトゥ=ルベツキ=マリックを結ぶホットラインには、実はもうひとりのキーパーソンがいます。それはプロダクション・デザインを担当するジャック・フィスク。「レヴェナント」「Knight of Cups」「Weightless」いずれもフィスクが美術を手がけています。「天国の日々」や「シン・レッド・ライン」など過去のマリック作品もそうだし、「マルホランド・ドライブ」もジャック・フィスクの仕事です。線上にデビッド・リンチも見えてきましたよ。

・「オデッセイ」は7部門ノミネートで受賞ゼロ。「スター・ウォーズ」も5部門ノミネートで受賞ゼロ。宇宙ものはオスカーに無縁というセオリーがまたしても踏襲されました。

・サム・スミスが主題歌賞の受賞スピーチで「ゲイでオスカーもらったの、ボクがはじめて〜」って言っていましたが、どうやらそんな事実はないらしい。過去にもいたと。

・レディ・ガガ、なんかウザい。

・ウーピー・ゴールドバーグのタトゥ、とっても高そう。

・「マッドマックス」のV6はいくらなんでも出来過ぎだろ。ワーナーのロビー活動が大成功したってことでしょうか? ワーナーはずいぶん早い時点で、オスカー・キャンペーンの対象作品を「マッドマックス」1本に絞ってロビー活動を行っていました。対するフォックスなんかは、「レヴェナント」「オデッセイ」「ブルックリン」と3本もの作品賞候補作があって、票がバラけてしまったかもしれない。ちなみに「ブリッジ・オブ・スパイ」は日本ではフォックス配給だが、北米での配給はディズニーです。

・「マッドマックス」祭を必殺の一撃で終わらせたのが「エクスマキナ」(視覚効果賞受賞)。「エクスマキナ」は日本での公開が決まっていません。が、スペイン語版のブルーレイを手に入れると、日本語字幕も入っているらしい。Amazonで買ってみよ。ソノヤ・ミズノという日本人の女の子も出てるんだよ。

・エンニオ・モリコーネがだいぶ「よいよい」な感じでしたが、87歳での受賞は、コンペティティブオスカーの受賞者としては最長老記録だそう。

・ABCによると、視聴率は過去最低でしたとさ。

さあ、祭も終わったことだし、平常営業に戻りましょう。

Photo credit: cliff1066™ via Visualhunt.com / CC BY

0 件のコメント:

コメントを投稿