2017年8月22日火曜日

ポートランドに皆既日食を見に来たんだが……。痛恨の0.8%

「2017年8月21日に、アメリカ各地で皆既日食が観測できる」という情報を耳にしたのは1年以上前のことです。2012年5月の金環食は東京で見ましたけど(今イチだったよね)、皆既日食は生まれてこのかた見たことないのよってことで、行き先をポートランドに決めて、3カ月ほど前にエアとホテルを手配しました。

前日、8月20日に現地入りし、LAから来た友人と合流。その後ホテルにチェックイン。


なんと、カードキーが日食仕様になっています。ポートランド市民の熱気を感じます。

今回、東京からサンディエゴに飛び、乗り継ぎ便でポートランド入りしたんですが、サンディエゴのイミグレでは「ポートランドで何すんの?」「日食見るのよ」「そーかそーか。ポートランドだと最高によく見えるんだってな」って言われる。

サンディエゴ→ポートランド便の機内でも、隣の席の爺さんに「ポートランドに住んでるの?」って聞かれて、「いやいや。日本から来たのよ。日食を見に」「そりゃいい! ひとりで来たの? お前も好きだねえ」って言われる。何だか、現地はきっちり盛り上がってます。

私が泊まったマリオットホテルは、ちょうど目の前のリバーサイドに公園があって、現地の旅行会社にも「ホテルの前の公園で見学するのがいいと思いますよ」とお墨付きいただいてました。


こちらは、ホテルのフロントに置いてあったフライヤーに載ってた「皆既日食ベルト」。皆既日食は、西海岸のオレゴン州を皮切りに、アイダホ、ワイオミング、ネブラスカ、ミズーリ、ケンタッキー、テネシー、サウスカロライナと通過します。どの州にも行ったことがないわ。ピンドロップのアイコンは、マリオットグループのホテルが立地しているポイントなんですかね。

さあ、8月21日がやってきました。期待と興奮と時差ボケで、朝5時前に目が醒めてます。まだ日の出前。でも、天気は良さそうだ。オレゴン富士ことマウント・フッドがバッチリ見えています。


ポートランドでは、9時06分に日食が始まり、10時19分にピークに到達、11時41分には終了というスケジュールです。観測用のメガネは、日本で通販で買ったものを持参しました。双眼鏡も持ってきた。


ラッキーなことに、私の部屋の窓から太陽が見えます。日食が始まってから皆既日食になるまで1時間以上あるので、部屋でテレビ中継とリアル太陽をかわるがわる見ながら、皆既日食30分前に目の前の公園へと突入することにしました。


テレビでは、生中継特番をやってます。オレゴン各地で日食見物する人々に次々取材し、異常な盛り上がりを伝えています。番組のキャスターが、これは「Once in a life time experience」だと繰り返し言ってます。


さあ、9時06分、食が始まりました。テレビの中継を見ると、右上がちょこっと欠けているのが分かると思います。部屋から日食メガネで見るリアル太陽も、もちろん同程度欠けてます。


自分のiPhoneに日食メガネをかぶせて撮った写真がこれ。欠けているのがまったく分かりません。iPhoneでの撮影は無理だと判明。


40分ほど経過し、太陽は半分ぐらい欠けました。ぼちぼち外に繰り出してみましょう。

ホテルの目の前の公園には、ポートランド市民がわんさか集まっています。1000人以上いるかな。


今日は月曜日。みんな会社(学校)休んだなw 会社が休日にしたのかもね。

さあ、10時過ぎ。いよいよクライマックスが近づいて来ました。頭の中では、ピンク・フロイドの「狂気」が鳴り響いています。「The lunatic is on the grass…」

いよいよ、太陽は月に完全に覆われ、黒い月の周囲にフレアが円環状に現れる……。

あれ、現れない???


私たちのいるポートランドで、みんなが日食メガネで見ているのはこんな太陽。

あとほんのちょっと。しかし、そのほんのちょっと先に到達できないもどかしさったら。

ピーク予定の10時19分になって、観客からはパラパラと拍手も。

「かなり暗くなったぞ!」「見て、街灯が点いたわ!」

でも、夜のような暗さじゃない。

これ、皆既日食じゃねーじゃん。

やがて、太陽の逆サイドが輝きはじめ、日食は折り返し。どんどん明るくなっていきます。ピークは終わってしまいました。

こんなハズじゃなかったよね……。


本来、こういうふうに太陽のフレアが燃え上がる様子が見られるハズだったのに。どこで間違ったか。

気になったので、「ポートランド」「皆既日食」でググってみたところ、ポートランドにおける食の最大値は99.2%、ポートランドから70キロ南西に離れたセイラムでは100.9%とのことです。


完全にしくった。ポートランドはビンゴじゃなかった。あと70キロ南に陣取るべきだった。

なんと、数値状ではたった0.8%でも、体感状はあまりにも違いがデカい。太陽の光って凄い。

通常の0.8%の光量でも、肉眼で感じるその明るさは「日中」ってレベルです。日食メガネで見ると細〜い三日月状がバッチリ見えますが、肉眼でまばたき繰り返しながら太陽を見ると、三日月状になっているのがどうにか分かるレベル。当然、周囲は普通に明るい。マジックアワーよりも全然明るい。

結論。日食はロケーションがすべてですね。100%太陽が消える(皆既日食になる)場所じゃないと、達成感が全然違うということが分かりました。もちろん、晴天になる確率が高いところであることも条件。

わざわざ日本からやって来たのに、ちょっと残念な結果になりました。そして、次の皆既日食は、2035年9月2日、北陸から北関東にかけてだそう。

あと18年先。まさに「Once in a lifetime experience」だよね。

公園からホテルに引き揚げる途中、面白い光景に出会いました。塀に映る木の葉の陰が、三日月状に切り取られているんです。欠けた太陽の形状が木漏れ日になって現れている。


これは珍しい。不思議なシルエット。

ポートランドの樹木から「まあ、これでも見て元気だせよ」って言われたようで、少し嬉しくなりましたよ。

さあ、気を取り直して、ホテルで「ツイン・ピークス The Return」の最新エピソードでも見ようっと。せっかくアメリカにいるんだからね。



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