私は、映画を見るときに、事前にあらすじや内容をできるだけ頭に入れないようにしています。試写室の受付でプレス資料を受け取っても、すぐにカバンに仕舞います。内容を知ってしまったら、「驚き」が薄まってしまうし、映画と「勝負」している感じがなくなって、集中力が途切れてしまう(=眠くなる)からです。
この「15時17分、パリ行き」も、「フランスのTGVにテロリストが乗り込んだが、乗客が犯人を捕まえてテロを未然に防いだ話」ってのは知ってました。しかし、それ以上の情報は一切知らなかった。
実際、本編を見ている分には、ちょっとした物足りなさを覚えつつも、事件をリアルに再現している雰囲気がビビッドに伝わってきます。
「いい映画だけど、ちょっといい映画過ぎないか?」と思って見ていると、映画は「締め」に入りました。そして、その瞬間、全身に鳥肌が立ちました。
「うおおおおおおお。何だこれ! こんな映画の作り方ってあんのか!」
具体的には、オランド前仏大統領の登場シーンです。
これ以上は書きません。とにかく、クリント・イーストウッドがこの映画でやったことは前代未聞です。
イーストウッド本人も語っています。
「この挑戦は、勇敢なのか無謀なのかは結果次第でしょうね(笑)。とにかく、彼らは熱意をもって挑戦し、私たちは彼らを受け入れられました。映画を見ればちょっと驚くと思いますよ」
この衝撃は、「バードマン」の時に似てるかな。映画製作の新たな地平を提示している点で。だけど、マネする人は恐らくいないでしょう。個人的には、ハイリスク・ローリターンなメソッドだと思います。イーストウッドじゃなきゃこんなことできない。実際、アメリカでの興行はいい成績じゃなかったし。
「15時17分、パリ行き」は、イーストウッドの監督作のなかで最短の94分。3月1日公開です。できるだけ前情報に接触せずに、イーストウッドと「勝負」してください。
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