大変な盛り上がりでした。ピッチとスタンドの一体感が半端なかった。試合が終わっても、サポーターは誰も帰らない。帰りたくない。こんな経験は初めてです。
2025年12月13日、フクダ電子アリーナ。J1昇格プレイオフ決勝戦です。12月7日の準決勝で、6位大宮を4-3の大逆転で破った3位ジェフ千葉と、5位磐田を1-1の引分けでしぶとくうっちゃった4位徳島の対戦です。
プレイオフ準決勝大宮戦は、0-3の絶体絶命状態から、17歳の高校2年生、姫野誠選手の鮮烈なデビュー弾などもあって、20分で4点をもぎ取る胸アツの逆転勝利。この結果がSNSで大いにBuzzり、私のタイムラインはジェフ一色になりました。
そして13日の決勝徳島戦。果たしてジェフ千葉は「17年ぶりのJ1昇格」が達成できるのか? 最後の最後に苦杯をなめるのか? 世の中も大注目です。J2の試合にしては珍しく、テレビもたくさん取材に来ていました。
ほら、オシム像の前からレポートしているレポーターさんがいます。
13時05分キックオフ。試合は非常にタイトで渋い展開となりました。お互いに決定的なチャンスが作れないまま前半は0-0。そして後半23分に試合が動きます。日高からのスローインを石川が受け、すかさず右への長いサイドチェンジ。それを受けた高橋壱晟のドリブルからカルリーニョス・ジュニオへの芸術的なクロス。そして、相手DFを紙一重で交わしてカルリーニョスがゴール右上にヘディングで見事なゴール! ジェフ千葉が1-0とリードし、そのまま逃げ切る結果となりました。
タイムアップ後には選手、スタッフ、サポーターみんなが歓喜の涙に包まれ、永らくご無沙汰してしまっていたJ1の舞台に、ようやく戻れることを祝っていました。私の周りでも泣いてる人がたくさんいましたよ。
それにしても、リーグ最終節今治戦(5-0)、プレイオフ大宮戦(4-3)、決勝の徳島戦(1-0)の3試合はいずれもフクアリ開催で、スタジアムは圧巻の盛り上がりでした。
私もすべて現地観戦しましたが、自分のシートの周りで観戦している知らないオッサンたちと、ゴールが入るたびに何度もハイタッチしましたからね。
ここまで盛り上がったのは、奇跡の残留の2008年以来ではないかと。FC東京相手に、0-2から4点奪ってJ1残留を決めた、いわゆる「フクアリの奇跡」ってヤツですね。
その翌年にJ2に降格した後、長きにわたる低迷。時には「チームは何考えてんだ?」って思えるほどの迷走が続いたジェフ千葉ですが、2023年シーズンからチームを率いる小林慶行監督が、ついに「オシムの壁」を乗り越えてJ1復帰を決めたことは非常に喜ばしい。プレイオフでプロデビューし、サポーターの心をわしづかみにした「ジェフのJ1時代を知らない」「オシム時代も知らない」姫野くんが救世主のごとく現れたことは、1つの時代が終焉し、新たな時代に踏み出すことの象徴だと感じます。
そうなんですよ。Jリーグは2026年から「秋春制」という新たな時代に突入するんです。そして、その前のシーズンでジェフ千葉がJ1昇格を達成できたことは非常に重要でした。
2026年、Jリーグは8月からシーズンがスタートする秋春制に変更となるんですが、26年の2月から6月までは「100年構想リーグ」というスケジュール調整のためのハーフなシーズンが設けられています。
つまり、2026年2月から6月の5カ月間、Jリーグ(J1、J2、J3)のチームを東西に分けて、ホーム&アウェイでチャンピオンシップのない試合を行うのです。
J1はEAST10チームとWEST10チームに分かれ、それぞれがホーム&アウェイの18試合。さらに、順位確定の試合がEAST1位対WEST1位、EAST2位対WEST2位、みたいな感じで実施される。1位のチームはACLの出場権を得られますが、それは「リーグ優勝」ではありません。
そして、J2のチームはJ3のチームとマージされた上で東西南北4エリアに分かれて試合をするという、なかなかかったるいレギュレーション。J2なのにJ3のチームとやんなきゃいけない。そして、このハーフシーズンには昇格と降格がありません。つまり、J2のチームがもっとも割を食うんですね。
J3なら上位と試合ができるいいチャレンジだし、J2チームに個人アピールもできる。また、J1に復帰したばかりのジェフ千葉にとっては、本シーズンが始まる前のリハビリ的な5カ月を過ごせる。J1のスタンダードにチームを適合させるためのトライアンドエラーができます。しかし、J1とJ3の間にいるJ2チームにしてみれば、賞金以外のメリットがほとんどない。もう、罰ゲームとしか思えません。
その上で、新しいJリーグのシーズンはJ1、J2、J3ともに2026年の8月から27年5月まで実施。ヨーロッパリーグと同様の秋春制に移行です。なので、このタイミングでの昇格を逃したら、2027年の夏までJ2だった。危なかった〜。
個人的には、久々のJ1なので、もちろんシーズンチケットは更新です。関東を離れてのアウェイ観戦も楽しみです。長崎とか、広島とか京都とか、新しいスタジアムで未訪問のところは是非行ってみたい。
それにしても、この不思議な感じは何に例えたらいいんでしょう。16年間服役していた囚人が恩赦で釈放された感じ? いやいや犯罪者じゃないからね。じゃあ、16年間浪人していた浪人生がようやく大学に受かった感じ? ちょっと近いかも。でも、その前はJ1にいたからねえ。これも違う。
てな具合に、なかなか表現するのが難しい感情を覚えています。まあでもとにかく、戻るべきところに戻れたので来年が楽しみです。もう二度とJ2には落ちたくないので、チーム運営の皆さまにあっては、5カ月のリハビリ期間は大切に使って頂きたいと節に願います。予算もドーンと増やしましょう。スタジアムも拡張しましょう。もう、これから先はチームもビジネスも成長し続ける未来だけを期待したいと思います。