2015年9月17日木曜日

「キングスマン」クッソ面白い。SIMを制する者が世界を制する?

遅ればせながら、「キングスマン」を映画館で見てきました。平日の4時の回。けっこうお客が入ってました。

もう乗っけからブッ飛びです。オープニング・クレジットが始まった瞬間、拍手しそうになりました。タイトルバック・シークエンスが超リッチ。武装ヘリが放ったミサイルが要塞の壁面に当たり、その破片が地面に跳ね返ってクレジット文字にモーフィングするというヤツですね。面白い! 終わりの方に動画を貼っておきます。

ある意味、このオープニングは、映画の方向性というか成分について宣言していると言えます。つまりこの映画は、古き良き伝統的スパイの生き様を描いていますが、その風合いは、とてもケミカルでデジタルなんです。

「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」(以下「M:I」)を引き合いに出しましょう。「M:I」は、古き良きスパイ・シリーズでありながら、伝統的な要素は失われ現代的に変質しています。しかし、そのアクション演出は極力CGを排して、オーガニックな風味を尊重しています。


一方の「キングスマン」は、スパイ=英国紳士という、ショーン・コネリー時代の「007」を彷彿とさせる主人公を登場させますが、その演出(映像)は濃厚で脂っこい。CG、スローモーション、ワイヤーアクション、もう何でもあり。「M:I」と出自が共通でありながら、180度対極にある映画ですね。

主人公はコリン・ファース。「英国紳士」を演じさせたら彼以上の俳優はいないでしょう。英国王役だってやってるし。

対する悪役(なかなか悪役かどうか分からない)に、サミュエル・L・ジャクソン。相変わらずキレッキレ。


このサム・ジャクソンの演じる、IT富豪(にして悪役)の主張が、実にリーズナブルなんですよ。今どきの富豪らしく、彼は、地球を蝕む環境問題を大いに懸念しています。

「地球温暖化は、政治家には止められない。政治家は、次の選挙で再選されることしか考えてないからだ」

「地球にとってのウィルスは、人間なんだ。人口を減らさないと、地球は滅亡してしまう」

実はこの「人口を減らさないと、地球は滅亡してしまう」というのは、フリーメイソンを筆頭とする闇の勢力の主張と合致しています。自分のブログから引用します。

・世界は闇の勢力(フリーメイソンとか、イルミナティとか)によって支配されている。
・闇の勢力は、世界の人口は20億人ぐらいが適当と考えている。SARSや鳥インフルエンザは、人類から有色人種を間引きするために行った生物兵器テロ

▼世界は陰謀に満ちている、のか?

まあ、闇の勢力が本当に存在するかどうかはおいといてw、この映画は「人口を減らすための大量虐殺を企てる大富豪と、これを阻止せんとするスパイ組織の戦い」というのがメインのストーリー。平行して、「人材不足に悩むスパイ組織が、新人をリクルートして育成する」というサブストーリーが絡んでいきます。この絡ませ方が絶妙なんですね。

そして、劇中に登場する数々のガジェットたち。こうもり傘、指輪、革靴……。英国紳士の身だしなみと、スパイの武器が渾然一体となって、しかもアクションシーンで大活躍します。自分が子どもの頃、スパイに憧れて、スパイグッズ(おもちゃ)を買いあさっていた記憶がよみがえります。


そして紳士のたしなみ、シングルモルト。ダルモアの62年もの(1本1000万円以上するはず)が出てきたり、ワインにしてもシャトー・ラトゥールとかイケムとか、お酒に関する蘊蓄も随所にビシビシ出てきます。

監督は「キック・アス」のマシュー・ヴォーン。「キングスマン:ザ・シークレット・サービス」というグラフィック・ノベルが原作です。脚本はマシュー・ヴォーンとジェーン・ゴールドマン。「キック・アス」の撮影中に生まれた企画だそうです。

しかしまあ何といっても、この映画の凄さはコリン・ファースに尽きますね。格調高き英国紳士が演じる、激しいアクションシーンの強烈なインパクト。相当トレーニング頑張りましたね。起承転結の「転」にあたる教会でのシーンは、思わず口を開けて見入ってしまいました。ひとりで参拝客全員を相手にする壮絶なファイトシーン、しかも超絶長回し(もちろんステディカム)。シビれますよ。

さて、IT富豪による、地球の人口を減らす計画ですが、人類を淘汰するための殺戮ツールが「通話料無料のSIM」っていうアイディアに、ガジェッターとしてはもう脱帽(というか苦笑)するしかありませんでした。だけどこの作戦が成立する前提は、世界中のスマートフォンがSIMフリーじゃないといけないんですけどねw。

まあでも「携帯電話の利用料金が高い」というストレスは、万国共通だってのがよく分かります。

今年はスパイ映画の当たり年ですね。この「キングスマン」に「ミッション・インポッシブル」、そして11月には「コードネーム U.N.C.L.E」(「0011 ナポレオン・ソロ」の映画化)も控えています。監督はガイ・リッチー。こちらも楽しみですよ。

では、冒頭述べたオープニングのタイトルバック。YouTubeに動画があったので貼っておきましょう。1分23秒。




改めて見ると、当該の演出は「Twentieth Century Fox presents」「in association with MARV」「a Cloudy production」の3本だけですね。そりゃそうだよね。CGの制作費がずいぶん高そうなタイトルバックだもんね。 本編の題名が出るシークエンスは、違う演出になってたんだね。もう覚えてないけど。

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