2016年12月15日木曜日

オスカー最有力「ラ・ラ・ランド」を見た。オープニングの長回しに気絶寸前

見てきました。現時点におけるアカデミー賞最有力作品「ラ・ラ・ランド」。ゴールデングローブ賞で7部門ノミネートされてる。監督は一昨年の「セッション」で一躍名を馳せたデイミアン・チャゼル。ハーバード出身の弱冠31歳です。


この映画、秋のベネチア映画祭やトロント映画祭ですでにかなりの話題になっていました。チャゼル監督、今度はミュージカルです。ミュージカルは超絶苦手な私ですが、チャゼルの監督作なので見ないわけには行きません。チャゼルのこれの前の仕事は「10 クローバーフィールド・レーン」の脚本(共同ね)でしたけど、それも律儀に見ておりまして。

さて「ラ・ラ・ランド」、ネタバレなしでレビューしましょう。

冒頭、ロサンゼルスのフリーウェイのシーンで映画は始まります。大渋滞のフリーウェイ。カメラが横移動し、並んでいる車を次々映していきます。

するとカメラは車道の中に入り込み、車の運転席で歌を歌う女性にフォーカス。ここら辺で、観客はこのシークエンスがワンカットのステディカム撮影であることが分かります。

さらにカメラは、上り車線、下り車線、中央分離帯と縦横無尽に動き回り、車の中や車の外や、屋根の上で歌ういろいろな人々を忙しく追っかけます。

凄いんですよ。この路上のモブシーンが。しかも歌や踊りの振り付けつきを、ワンカットでやっつけてる。どんだけリハーサルしたんだよって思います。

映画見る限り、当該のフリーウェイ以外の近隣の道路は普通に車が通行しているので、2〜3キロメートルぐらいを封鎖して撮っているようです。

この長回しシークエンスは5分ほど続き、楽曲の終了「ジャ~ン!」とともにタイトルの「LA LA LAND」が「ドーン!」と登場したところでカット。

もう、ここで立ち上がって拍手したい気分になります。ベネチアでは、ここで実際にスタンディングオベーションが起きたらしい。それほどスペクタクルに溢れたオープニングシークエンスです。


このシーンに続いて、主演女優、主演男優が紹介され、ドラマがスタートするのですが、さっきのオープニングが凄すぎて、なかなかドラマに入り込めません。

スタイルはミュージカルですが、もちろん、ドラマもしっかり作り込まれています。女優を目指して、ウエイトレスをしながらオーディションを受けまくるミア(エマ・ストーン)。ジャズを愛し、いつか自分の店を切り盛りすることを夢見て、不本意ながら他人のバンドのメンバーをやってるセブ(ライアン・ゴズリング)。

この2人が、恋に落ちる物語です。

私はラブストーリーはあまり得意ではないので、もっぱら、撮影と照明を中心に鑑賞していました。まあ、どんな映画でもそうなんですが。

撮影はグレイトです。大好物の「手持ちカメラで長回し」が随所に登場します。興味深かったのは、楽曲を歌うシーンがほぼワンカットに収められている点ですね。ワンナンバー・ワンカット。凄いチャレンジです。そして凄い臨場感に仕上がっています。

照明もグッドです。照明仕事は、カメラと同じく撮影監督の仕事です。今回、「アメリカン・ハッスル」などを撮ったスウェーデン人、リナス・サンドグレンという人が撮影監督をやっています。

ストーリーが進む中、なんかちょっと不完全燃焼だなあ、あのオープニングシークエンスを上回るシーンがなかなかないなあと思って見ていたら、最後の最後に凄いカットがぶっ込まれていました。

わーお。

チャゼル、あんた凄いよ。シビれたよ。さすがハーバードは違うなあ。


ところで、この映画を見て一番喜ぶのはジャズファンですね。デイミアン・チャゼルのジャズに関するこだわりがこれでもかとリフレインするし。

それから、この映画「ラ・ラ・ランド」のタイトルの意味するところが最後までわからなかったんですが、後でググったら簡単に出てきました。


「La La Land」ってLA(ロサンゼルス)の別名でもあるんですね。ドラッグでぶっ飛んでる状態もLa La Landだそうです。なるほどー。それはそれで違った映画の解釈が導けるかも。

2017年2月24日公開です。アカデミー賞授賞式の直前!

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