確か、去年の今ごろはこのブログで「オデッセイ」を「来年(2016年)公開のベスト映画候補」だってレビューした記憶があるのですが、今年もまた来年(2017年)公開のベスト映画候補作を先取りしてしまいました。
またしてもSciFiムービーです。原題は「ARRIVAL」。邦題は「メッセージ」。プレス試写で鑑賞しました。ネタバレなしでレビューしましょう。
まずはポスタービジュアルをご覧ください。宙に浮かぶカツオ節のような物体はUFOです。形はだいぶ違いますが、立ち姿が「2001年宇宙の旅」のモノリスを連想させます。
このUFOが、ある日突然地上に出現します。しかも、世界中に12体も。彼らはいったいどこから来たのか、どうやって飛来したのか分からない。そして最大の謎は、彼らの目的です。そう、まさに「YOUは何しに地球へ?」を明らかにするのが、この映画のメインテーマです。
このUFOの出現で世界がパニックに陥る中、米軍はUFOとのコンタクトのために一人の言語学者に白羽の矢を立てます。映画の主人公ルイーズ(エイミー・アダムス)は、同じ任務にアサインされた数学研究者イアン(ジェレミー・レナー)とともに、地球にやって来たエイリアンとのコミュニケーションをあの手この手で試み、彼らが地球にやって来た目的を探っていきます。
この映画を見ながら思い出していた映画が3本あります。まず「未知との遭遇」。次に「インデペンデンス・デイ」。それから「インターステラー」。
この3作品で描かれていたモチーフを、もっとリアルに、より現代的に洗練させ、しかも3作品のどれにも似ていない映画に仕上げています。驚くべきは、映画の本当のテーマはSFではなく、ディザスターでもなく、ヒューマンドラマであること。ルイーズのパーソナルな物語となっていることです。
映画を見終わって、心理学的、哲学的スタディを経験したような不思議な気分になりました。「人生って何だ?」「幸せって何だ?」みたいなね。ルイーズに感情移入して、泣けちゃう人も意外に多いと思います。
監督はドゥニ・ビルヌーブ。往年のF1レーサーみたいな名前です。直近だと、メキシコの麻薬戦争をテーマにした「ボーダーライン」とか、ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールが出演した「プリズナーズ」とか撮ってます。実は私はこの監督の映画を1本も見たことなかったのですが、「メッセージ」を見て、初期の作品から見始めることにしました。
とにかく脚本が素晴らしい(エリック・ハイセラー)。撮影もグッド(撮影監督はブラッドフォード・ヤングという人。覚えておこう)。音楽も斬新(ヨハン・ヨハンソンというアイスランド人。これも覚えておこう)。凄い才能が結集していると感じます。監督は、これが初めてのSF作品だなんて信じられません。VFXのシークエンスは洗練されていて、映像的カタルシスも非常に大きい。「こんな演出、よく思いつくな」というシーンが次々現れます。
プロダクションノートから、例のUFOの造形に関する監督の語りを引用しておきましょう。
「当初、宇宙船は球体のように丸かったんだ。でもそれだと今までにも見たようなものになるし、それほど不吉な感じも奇妙な感じもしないと思った。だから、小石のような卵形の宇宙船にしようと考えたんだ。そして太陽系の軌道を公転しているエウノミア(別名、第15番小惑星)という小惑星を参考にして形を決めた。(中略)あの変な形がパーフェクトだった。不吉で謎めいていて恐ろしい感じがしたんだ」
ビルヌーブさん、そのこだわり、ナイスです。センス良すぎだわ。
本作はアメリカで11月に公開され、興行的にも好成績を記録しています。批評家からも絶賛評を集めており、RottenTomatoesでは93%フレッシュという驚異的な数値を叩き出してます。来年のアカデミー賞の有力候補となることは間違いありません。
だけど(だから)日本での公開は2017年の5月なんですよ。半年も先。まあ、分かりますよ。オスカーの結果出てからがビジネスチャンスだよねえ。
あと、最近のSFもの、宇宙ものの映画の邦題が迷走傾向なのも少し気になりますね。「Gravity」が「ゼロ・グラビティ」、「Martian」が「オデッセイ」、「Arrival」が「メッセージ」となかなかにガラパゴス。
予告編を貼っておきます。日本語版もあるのですが、ここは敢えてUS版のFinal Trailerを貼ります。だってこっちの方が雰囲気でてる(1分)。
最後に、このエントリで一番語りたかったことを。それは、このカナダの変態監督ドゥニ・ビルヌーブの次回作が「ブレードランナー2049」だってこと。あの「ブレードランナー」の公式な続編です。「メッセージ」を見てしまった今、「ブレラン2049」もまた大傑作となる予感大ですよ。だってこの映画が「ブレラン2049」の壮大なリハーサルだって考えたら……ワクワクドキドキが止まりません。スタジオも同じソニーですし。
「ブレラン2049」は2017年11月公開。来年は、5月の「メッセージ」もあるので、日本におけるビルヌーブ祭りになりますね。
ところで、「メッセージ」には原作がありました。「あなたの人生の物語」という短編です。著者はテッド・チャン。早速、Amazonで買いました。原作読んで、また映画見ます。来年の5月にね。
またしてもSciFiムービーです。原題は「ARRIVAL」。邦題は「メッセージ」。プレス試写で鑑賞しました。ネタバレなしでレビューしましょう。
このUFOが、ある日突然地上に出現します。しかも、世界中に12体も。彼らはいったいどこから来たのか、どうやって飛来したのか分からない。そして最大の謎は、彼らの目的です。そう、まさに「YOUは何しに地球へ?」を明らかにするのが、この映画のメインテーマです。
このUFOの出現で世界がパニックに陥る中、米軍はUFOとのコンタクトのために一人の言語学者に白羽の矢を立てます。映画の主人公ルイーズ(エイミー・アダムス)は、同じ任務にアサインされた数学研究者イアン(ジェレミー・レナー)とともに、地球にやって来たエイリアンとのコミュニケーションをあの手この手で試み、彼らが地球にやって来た目的を探っていきます。
この映画を見ながら思い出していた映画が3本あります。まず「未知との遭遇」。次に「インデペンデンス・デイ」。それから「インターステラー」。
この3作品で描かれていたモチーフを、もっとリアルに、より現代的に洗練させ、しかも3作品のどれにも似ていない映画に仕上げています。驚くべきは、映画の本当のテーマはSFではなく、ディザスターでもなく、ヒューマンドラマであること。ルイーズのパーソナルな物語となっていることです。
監督はドゥニ・ビルヌーブ。往年のF1レーサーみたいな名前です。直近だと、メキシコの麻薬戦争をテーマにした「ボーダーライン」とか、ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールが出演した「プリズナーズ」とか撮ってます。実は私はこの監督の映画を1本も見たことなかったのですが、「メッセージ」を見て、初期の作品から見始めることにしました。
とにかく脚本が素晴らしい(エリック・ハイセラー)。撮影もグッド(撮影監督はブラッドフォード・ヤングという人。覚えておこう)。音楽も斬新(ヨハン・ヨハンソンというアイスランド人。これも覚えておこう)。凄い才能が結集していると感じます。監督は、これが初めてのSF作品だなんて信じられません。VFXのシークエンスは洗練されていて、映像的カタルシスも非常に大きい。「こんな演出、よく思いつくな」というシーンが次々現れます。
プロダクションノートから、例のUFOの造形に関する監督の語りを引用しておきましょう。
「当初、宇宙船は球体のように丸かったんだ。でもそれだと今までにも見たようなものになるし、それほど不吉な感じも奇妙な感じもしないと思った。だから、小石のような卵形の宇宙船にしようと考えたんだ。そして太陽系の軌道を公転しているエウノミア(別名、第15番小惑星)という小惑星を参考にして形を決めた。(中略)あの変な形がパーフェクトだった。不吉で謎めいていて恐ろしい感じがしたんだ」
ビルヌーブさん、そのこだわり、ナイスです。センス良すぎだわ。
本作はアメリカで11月に公開され、興行的にも好成績を記録しています。批評家からも絶賛評を集めており、RottenTomatoesでは93%フレッシュという驚異的な数値を叩き出してます。来年のアカデミー賞の有力候補となることは間違いありません。
だけど(だから)日本での公開は2017年の5月なんですよ。半年も先。まあ、分かりますよ。オスカーの結果出てからがビジネスチャンスだよねえ。
あと、最近のSFもの、宇宙ものの映画の邦題が迷走傾向なのも少し気になりますね。「Gravity」が「ゼロ・グラビティ」、「Martian」が「オデッセイ」、「Arrival」が「メッセージ」となかなかにガラパゴス。
予告編を貼っておきます。日本語版もあるのですが、ここは敢えてUS版のFinal Trailerを貼ります。だってこっちの方が雰囲気でてる(1分)。
最後に、このエントリで一番語りたかったことを。それは、このカナダの変態監督ドゥニ・ビルヌーブの次回作が「ブレードランナー2049」だってこと。あの「ブレードランナー」の公式な続編です。「メッセージ」を見てしまった今、「ブレラン2049」もまた大傑作となる予感大ですよ。だってこの映画が「ブレラン2049」の壮大なリハーサルだって考えたら……ワクワクドキドキが止まりません。スタジオも同じソニーですし。
「ブレラン2049」は2017年11月公開。来年は、5月の「メッセージ」もあるので、日本におけるビルヌーブ祭りになりますね。
ところで、「メッセージ」には原作がありました。「あなたの人生の物語」という短編です。著者はテッド・チャン。早速、Amazonで買いました。原作読んで、また映画見ます。来年の5月にね。
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