2015年12月20日日曜日

「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を見た。軽いネタバレありレビュー

早速見て来ましたよ「スター・ウォーズ フォースの覚醒」。12月18日、公開初日の18時30分、全国一斉公開の初回ってやつ。総勢9人で、成田のIMAXまでプチツアーを敢行しました。一番若い人は私より30歳以上年下でしたw


1999年の「エピソード1」、2002年の「エピソード2」、2005年の「エピソード3」の時は、LAまで鑑賞ツアーを組んで、各回総勢30人ぐらいでチャイニーズシアターで見たものです。あれから10年、まさか、また「スター・ウォーズ」の新作が見られる日が来るとは思いませんでした。

今回はLAには行きませんが、やはり初日の初回に行って皆で盛り上がりたい。てなわけで、1カ月前の11月18日、オンラインチケット発売日に予約を試みました。ところが、TOHOシネマズの新宿や六本木、日劇など都心のメイン館はあっという間に売り切れてしまったので、少し遠いのですが、上映コンディションの素晴らしい成田IMAXの座席を確保した次第。

そして当日。18時半ぴったりに本編の上映が始まりました。CFナシ。予告編もナシ。LUCASFILMのロゴに続き、STAR WARSのロゴとともに例のファンファーレが高らかに鳴り響くと、場内は拍手喝采。「A long time ago in a galaxy far, far away…」そして「Episode VII」のキャプションに続いて状況説明の字幕スクロールアップで、早くも涙がこみ上げウルウル状態に……。隣の席では若い男子が「ヤバイヤバイ!」と声を出しています。

以下、多少のネタバレがあります。いや、かなりのネタバレだなw。先を読む方は自己責任にてお願いします。

例の縦スクロールの冒頭は「ルーク・スカイウォーカーが消えた(行方不明になった)」ことを観客に示しています。ルークは「最後のジェダイ」だったことも。また、帝国軍が復活し「ファースト・オーダー」という名でギャラクシー制圧を目論んでいること、レジスタンスと共和国軍がこれと戦っていることなどが示されます。


本編が始まります。新たな主人公は「レイ」。砂だらけの惑星ジャクーで廃品を集めて売りながら生計を立てている若い女子です。砂だらけの惑星、廃品回収と言えば「エピソード4」におけるルーク・スカイウォーカーと同一の設定ですね。そしてレイのカウンターパートには「フィン」。幼少の頃に帝国軍に連れさられ、ストーム・トルーパーとして訓練を受けますが、正義感に駆られて帝国軍を逃げ出した黒人男子です。

そして、今作の悪役は「カイロ・レン」。被りものに黒いマントで、誰がどう見てもコイツが新しい「ダース・ベイダー」だなってのが分かる寸法。


この3人の新キャラの活躍が、若い観客の興奮と共感喚起を担います。そしてもちろん、ハン・ソロにチューバッカ、C-3POにR2-D2、レイア姫にルーク・スカイウォーカーが要所要所で登場、中年ファンのノスタルジー召還と拍手喝采のスイッチを押すという役割分担になっています。

2時間18分があっという間です。みんなの大好きな「スター・ウォーズ」が戻ってきました。少なくとも、あの「エピソード1」の時の失望はありません。


見終わった瞬間の率直な感想は、正直、ちょっと微妙なものでした。「概ね満足、だけどちょっと物足りない……」いや、「だいぶ物足りない」という感じ。

帰りの車中、若い人たちは皆かなり満足そうです。生まれて初めて映画館でSWを見たという男子は、けっこう興奮気味。そりゃそうだよね。気持ちは十分わかる。SWを初めて見たときゃ、メチャメチャ興奮したもんな。

初めて「エピソード4」を映画館で見たときの点数を100点とするならば、今回はせいぜい80点というところです。その原因は何だろう?

ひとつには、自分が年を取りすぎてしまったこと。これは否定できません。年を取ってファンタジーは受けつけられなくなってしまい、リアルなものの方が共感できる体質に。正直言って、こないだ見た「オデッセイ」の方がSWより遙かに共感できたもの。

もうひとつは、銀河世界にイノベーションが見られないところ。「フォースの覚醒」は「ジェダイの帰還」の30年後という設定なんですが、この30年でギャラクシーはちっとも進化していない!

ライトセーバーは相変わらずだし、X-ウィングやTIEファイターも当時のまんま。帝国軍はデス・スターのデカいバージョンを建造していますが、デカくするって発想が時代に逆行していると感じます。


地球におけるITオリエンテッドな世界は、この30年でもの凄い進化を遂げているのに、この映画で描かれるギャラクシーの文明は、単純に時計の針を30年進めただけって感じに見えてしまう。

もちろん、「エピソード1」であまりにも過剰な未来都市像を披露しながら、それらが単なるデスクトップ・マスターベーションに過ぎず、ドラマの進展にほとんど寄与していないばかりか、観客の共感も得られていなかったという反省も踏まえてるんだと思います。

そんなわけで、J・J・エイブラムスたち製作陣は「あまりリスクは冒さず、無難な線でまとめる」道を選んだということだと理解しました。

彼らが作ったのは、「エピソード4」すなわち第1作目「スター・ウォーズ 新たなる希望」のリメイク作品なんです。

ルーク・スカイウォーカーがレイ。レイア姫相当はいませんが、主人公のカウンターとしてのフィン。ダース・ベイダー相当がカイロ・レン。そして、ルークのパートナーだったR2-D2に相当するのがBB-8ということです。帝国軍対レジスタンスという対立軸は、もちろん揺らぐはずもありません。

監督のJ・Jは、自らSWファンであることを公言していますが、では本作は「SWファンの、SWファンによる、SWファンのための映画」に終始しているでしょうか?

必ずしもそうではありません。

ディズニーは、SWマーケットを拡張するために、「フォースの覚醒」でかなり野心的なチャレンジをしています。

それはまず、主人公を女性にしたこと。これは疑いなく、SWがこれまで不得意としてきた女性ターゲットにアピールするためです。劇中、主人公レイの中でフォースが覚醒し、彼女はジェダイとしての才覚を発揮していきます。「主人公は女性。しかも、自立していて特別な力を持っている」。まるで「アナ雪」と同じじゃないですか。


でもそれだけじゃあそんなに野心的じゃない。私が本作でもっとも驚いたのは、カワイい主人公レイの相方フィンが黒人青年である点です。しかも、レイとフィンはけっこう「いい感じ」になっていきます。

これは驚愕の展開です。旧作では「身分違いの恋」だったところ、「人種違いの恋」に踏み込もうとしている。「マジかよ。これSWだよ。そこ行っちゃっていいの?」

コンサバだけど最大のドル箱でもある白人マーケットの反感を買ってまでも、ディズニーはSWでブラックマーケットを獲りに行きたいのでしょうか? だとしたらもの凄いリスク案件です。

J・J、炎上上等なのか?と思いきや、最終的に白人男子がホッと胸をなで下ろすような実に見事なプロット運びで、2人のドラマは次作へと先送りになりました。

思うに、この件を収束させるには、フィンをランド・カルリシアンの息子にするしかないんじゃないかと。そんならみんな文句言えないよね。もう、それしか考えられません。

ああ、これを書いているうちに次回作が楽しみになってきた。「物足りない」とか「せいぜい80点」とか言いながら、めっちゃ楽しんでます。やっぱSWは特別ですね。

1 件のコメント:

  1. こんにちは。
    突然の投稿で失礼します。

    エピソード7の感想が自分もほぼ一緒でした。
    特にイノベーションに関して。
    SW世界では全く進化が見られないのがとても寂しい。。
    レイアとハンの立場も相変わらずでは前の戦争の意味が無くなってしまいますね。
    そういう意味ではジョージがプリークエルで見せてくれた世界は
    旧3部作の世界を広げてくれた部分で評価しています。
    とは言えエピソード8ではかなり冒険してくれそうなので期待しています。

    ところで実は自分も1999年のエピソード1初日観賞ツアーに参加していました。
    もしかしたらその時お会いしているかもしれませんね。
    急に思い出してその時の情報がネットに落ちていないか
    探しているうちにこちらのブログにたどり着きました。

    ではでは失礼致しました。

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