2017年2月6日月曜日

キューバ旅行に関する覚え書き その2 キューバつれづれ

キューバ旅行記の最終回です。つれづれに書きます。キューバには初めて行きましたが、超オモロい国でした。今までに経験したことのない世界。

みんな貧乏だけど、底抜けに陽気。

ホームレスがいない、スラムがない。だから、治安が悪いとはまったく感じません。


そのかわり、大金持ちもいない。メルセデスとかBMWなんて、1日に1台目撃するかどうか。

「幸せって何? 理想的な国ってどんなの?」

キューバの町を歩いていると、つい、思想レベルであれこれ考えてしまう。

いま、いわゆるマルクス・レーニン主義に則った社会主義国家は、世界に4カ国しかありません。中国、ベトナム、ラオス、そしてこのキューバです。ラオスは行ったことありませんけど、中国やベトナムとは全然違いますよね、キューバは。

信じられないことに、一般的なキューバ人の月収は20ドルだそうです。医者でも30ドル。年収3万円〜4万円ですよ。その代わり、学校はタダ、医療費もタダ、食事は配給がある。

そんな月収20ドルの国に、旅行客がわんさかやってきて、5ドルとか10ドルとかチップ払うもんだから、現地人はみんな旅行客目当てのサイドビジネスに余念がない。


この花売りのおネエさんたちも、最高の笑顔で写ってくれましたが、その後のチップよこせ攻撃からは逃げられません。

街角で演奏しているおジイさんたち、渋いですよね。ブエナビスタ・ソシアル・クラブ的な。だけど、おジイさんの前で足を止めて聞き入っちゃうと、チップ缶持ったオバちゃんがスルスルっと現れて、小銭を払わずにはいられない状態に。


もっとも、このレベルの小銭稼ぎは蔓延しているものの、これがそんなにえげつないレベルではないんですわ。

タクシーも、乗る前に必ず交渉なんですが……。

「XXホテルまで行きたいんだけど。いくら?」

「15ドルだね」

「えー、高い。10ドルにして」

「いいよ。じゃあ10ドル」

あっけなく値切れます。何というか、まだウブな感じ。そんなにスレてない。この5ドル値切る交渉は、インドだとうんざりするほどのやりとりが必要になります。

お金の話と言えば、キューバではクレジットカードがまず使えません。常にキャッシュ払い。


キューバでは、キャッシュは、少額の小銭から20CUC札(1CUC=1ドル)まで、バリエーション多めに持ち歩くことがポイントです。

なぜなら、色んな局面でさまざまな額のチップが必要になるから。

例えば外でトイレに入るときとか、かなりの確率でトイレおばさんがいて、入り口で小銭を集めています。皿に小銭を入れると、代わりにトイレットペーパーを20センチほどちぎってよこします。これはまあ、払わなくてもいいやつではありますが、前に入る人たち皆が払っている中で、払わずに入るのはなかなかバツが悪い。

それと、個室には紙はありませんから、紙が必要な人はそこで小銭がないと、お札を差し出す羽目になります。

私たちはキューバ滞在中、ホテルのトイレットペーパーを拝借して、常にバッグに入れて持ち歩いていました。ウチの奥さんは、トイレおばさんにトイレットペーパーをひょいっと見せて、チップ払わずに突破していましたね。あと、前半私は風邪を引いていたので、鼻をかむのに使ってた。レストランなどでも、テーブルがきれいじゃない場合があるので、これで拭いたりね。


あと、路上でミュージシャンの音楽に耳を奪われてしまったらチップ。

ディナーを食べたレストランに生バンドがいて演奏していたら、バンドにチップ(演奏が終わる度にチップ缶持って徴収に来ます)。

見学に訪れた葉巻工場で、「葉巻吸ってみたい人?」ってのに「ハイ!」って答えちゃったら、葉巻ニイさんにチップ。

とにかく、他の国よりもチップ払う局面がかなり多い。だから、常に適切な(多すぎない)チップを払うために、バリエーション多めにキャッシュを持っておいた方がいいと。

キューバのお金で驚いたのは、3CUC紙幣ですね。滞在中は1、3、5、10、20とおもに5種類のお札を使っていましたが、3の単位はこれまで見たことがありません。10払うのに、3+3+3+1とか、5+3+3で1お釣りをもらうとか。これはなかなか新鮮でしたよ。


ゲバラの肖像画が描かれた3ペソ(人民ペソ)は、お土産にもってこいです。現地で手に入れるのはそれほど簡単ではないんですが。

では、キャッシュ(CUC)はどうやって調達するか? これは、レートはともかくストレスの少ない順に並べると……。

ATM > 銀行 > 両替屋

ということになります。ひとつずつ解説しましょう。

ATMは、あるにはあるが、それほど多くありません。ただ、銀行にはだいたい外壁にATMが埋まっているので、それをおもに使っていました。カードを入れた後、ボタンを操作した時の動きが少しもっさりしているので、「反応がない。オカしい」とボタンを二度押ししたりせずに、のんびり操作してください。反応が遅いのは、おそらく回線速度の問題でしょう。

私たちはキャッシュカードではなくて、VISAのクレジットカードでキャッシングして現地通貨を調達します。これは、キューバに限らず世界のどこでも同じ。それが一番手数料(金利)が安いんです。

銀行窓口での両替もチャレンジしました。これには2つのハードルがあります。まず、いつも銀行は長蛇の列。それなりに時間がかかります。あと、日本円を買ってくれない。銀行での両替を想定している方は、ユーロなりイギリスポンドなりを持参してください。米ドルは10%のコミッションがかかるので、不利と言われています。


両替屋も、銀行と一緒でかなりの行列。ただし、日本円でもOKでした。つまり、日本円を持参する人は、両替屋一択となります。ホテルのフロントでも円の両替は無理。

米ドルのコミッション問題については、私が旅行していた時は、トランプが当選してから就任するまでの期間だったせいか、総じてドル高な日々でした。だから、コミッション10%取られたところで、他の通貨よりドルの方が有利なんじゃね?って感じでしたね。ちゃんと計算していませんけど。

とにかく行列がいやなので、いつも空いてるATMでキャッシュ下ろしまくってました。


あと、キューバでは旅行者が使うCUCと、キューバ人が使う人民ペソ(CUP)の二重価格になってるのは有名な話です。しかし私たちは、滞在中に一度も人民ペソで決済することはありませんでした。

キューバの田舎の町に行って、人民ペソで買い物したり食事した人は、みな口を揃えて「冗談みたいな金額だ」って言いますが、まあ月収2000円の世界だったらそうでしょう。

東京でバスに乗ったら200円かかるところが、キューバならたったの2円って感覚ですよね。

でも、我々日本人がその世界に行って、現地人と同じ水準で買い物するってのもちょっと違和感ですよね。いや、違和感というより罪悪感かな。

まあしかし、クレジットカードが使えないのはどうにかして欲しいですね。旅行客をたくさん誘致したいんなら、マストですよね。

キューバにおける三重苦は、「ネットが使えない」「カードが使えない」「英語が通じない」でした。


なので、キューバに行く人は、「たまには不便を楽しんでみよう」って感覚が必要なんじゃないかと。

そんなキューバは、今後どんな道を歩んでいくんでしょうか。

たまたま私たちが滞在している間に、ラウル・カストロが声明を出しました。ラウルは「我々は市場開放には向かわない」と発表しました。

その方向性は、キューバの人たちにとっていいか悪いかはともかく、西側の旅行者にとっては、ある種の朗報と捉えていいでしょう。「他のどの国にも似ていない国」キューバが、まだしらばくはそこにあり続けるということですから。


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