今回のニューヨーク旅行は、ライブを2本見ることと、ブルックリンをぶらぶらするのが主要な目的だったのですが、出発前に思いがけない獲物が飛び込んできました。
バンクシーです。バンクシーはイギリスのブリストル出身。正体不明・年齢不詳・神出鬼没のストリート・アーティストです。
そのバンクシーが、10月1日から、突然ニューヨークでゲリラ的な展示をスタートさせたのです。10月いっぱい、毎日1点、ニューヨーク各地の路上に作品を残し、自分のWebで公表するというリアルタイム・インスタレーション。
「作品」は毎日午前中に専用のWebサイトで発表されます。当日の新作は、作品の写真と大まかな場所(Hells KitchenとかBrooklynなど)しか明らかにされません。新作がWebに上がると、バンクシーの熱狂的ファンやアート好きのニューヨーカーたちが、「場所を特定」→「写真つきで場所をツイート」→「他のフォロワーが現地に殺到」というサイクルで拡散していきます。これが毎日行われるのです。一種の宝探しですね。
私たちがニューヨークに着いたのは10月25日ですから、それまで25点の作品が発表されています。最北がサウス・ブロンクス、最南がスタテン島。私たちのホテルはソーホーなので、そこを拠点に、翌26日の朝からそれほど遠くないエリアの作品を探しに行くことにしました。ニューヨークに着いて早々に、バンクシー・ハンティングに突入です。
アッパー・ウェストサイドでまず1点。こちらは#20(10月20日の作品)で、靴屋の外壁に描かれています。
作品は透明のアクリル板で覆われており(靴屋のオーナーが保護のために設置したとか)、かなりコンディションはグッド。幸先いい感じです。
しかし、2点目で早くも衝撃が。
ヘルズ・キッチンのハスラークラブのシャッターに、この絵が描かれているはずでした。
しかし現地に着いてみると、作品の描かれたシャッターは外されており、職人が新しいシャッターを取り付けている真っ最中。
おそらくは、お店のオーナーがコレクションにしてしまったんでしょうね。コンディションの良いうちに撤去してしまえと。
これが#24ですから、私たちがハンティングを始めた前々日の作品なんです。つまり、描かれてから3日ともたなかった。この日は土曜日で、現地にはこれ目当てで来た人々が7〜8人いて、皆がっかりして帰っていきます。
凄いイベントですよね。
基本的に、作品は「路上の落書き」が中心なので、上からさらに落書きされて作品が原形を失ってしまったり、作品ごと塗りつぶされてしまうこともある。この#24は、作品ごと取り外されてしまいました。「早く見に行かないと、見られなくなってしまう」という焦燥感に駆られて、ファンが東へ西へ、南へ北へとニューヨーク中を駆け回るという寸法。
調べてみると、こんな便利なまとめマップも出来上がっており、大変役にたちそうです。
気を取り直してハンティング再開。ミッドタウンで#3をキャッチ。作品(=落書き)の上に落書きされちゃってますが、しっかり原形をとどめています。
次のターゲットは#26。下記の写真は公式に載ってたもの。ブルックリンのサンセットパークというやや遠い所にあります。トラックの荷台コンテナの後部ゲートに描かれた、26日の作品。
翌27日に地下鉄に乗って1時間かけて探しに行ってみると、すでにトラックは走り去っており、こんなメッセージが残されてました。ガックシ。
こんなことがあると、悔しいからリベンジしてやろうって気分になるんですよね。
で、次に向かうのは#27。さっきのトラックを見損ねたその足で、当日アップの新作を探しに行きます。翌日までもたない可能性もありますからねえ。
はい、無事でした。100%の状態。これもブルックリン。作品のアップ当日だけあって、ギャラリーもこんなにたくさん。みんなで写真撮りまくり。
結局、26日と27日の2日間で12地点を訪れ、7勝5敗という結果。面白いんだけど、移動が大変でとても疲れます。あと、辿り着いたけれど作品がすでに消滅していた時の徒労感ったらね。
今回、非常に役立ったツールを2つご紹介。
1つは、フォースクエアというアプリ。まあ、これはご存知の方も多いと思いますが、場所にチェックインできるサービスです。
ご覧のように、「banksy」で検索してみると、今回のバンクシーのインスタレーションの場所が位置情報とともにまとめて出てきます。作品探しが超絶便利。作品のコンディションに関するTipsもたくさん投稿されていてとっても役に立ちました。
そして、ニューヨーク・シティバイク。
パリやロンドン同様、公共の交通機関としてニューヨーク市が導入した自転車です。車体、システムともに、ロンドンのものとほぼ共通ですね。
今回のバンクシーの作品は、観光客が普段行かない、こんなことでもなきゃ絶対訪れないような場所にあるので、地下鉄やバスの移動だけだとかなりキツくて、たくさん歩かされる羽目になります。
そこを解決するのが、この自転車です。9.95ドル払えば、24時間乗り放題。ただし、30分以内にドック・トゥ・ドックという条件で使います。
こんなアプリと組み合わせて使えば、かなり効率よく移動することができます。
今回のバンクシーの一連の作品が、いつまで残っているかは神のみぞ知るですが、これからバンクシー・ハンティングにチャレンジする方は、この自転車をうまく使って移動するのがオススメです。ただし、もちろん交通事故のリスクは少なからずありますので、自己責任ということで。
自動車が一方通行のところは自転車も一方通行。また、歩道を走ると検挙されることもありますので十分ご注意の上。
今回のバンクシーのインスタレーション、「BETTER OUT THAN IN」のWebサイトはこちらです。
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