ひゃっは〜、ぶったまげた。超絶面白かった。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」。
賞レース期間とシンクロして、毎年1月〜3月ぐらいは、日本でもクオリティ・フィルムが集中的に市場に投下されます。この3カ月の間に集中的に映画を見ておけば、残りの時期は映画を一切見なくていいよと言っても過言じゃないレベル。
先週から今週にかけ、「アメリカン・ハッスル」(アカデミー賞10部門ノミネート)、「それでも夜は明ける」(9部門ノミネート)そしてこの「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(5部門ノミネート)と3本の試写に出かけました。
「アメリカン・ハッスル」「それでも夜は明ける」の2本については、どちらも素晴らしいんですが、ちょっとシズル感に欠ける印象。他人(一般の人)に説明する意欲が今ひとつ湧かない。「ここが凄いから是非見て!」というベタで分かりやすいストロングポイントがないんです。だから2本とも、ハードコアな映画ファンじゃない限りオススメはしません。はい。
さて、本題「ウルフ・オブ・ウォールストリート」です。見る前はちょっと嫌な予感がしてたんですよ。だって上映時間は2時間59分。マーティン・スコセッシ監督とディカプリオの映画は「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2時間48分)とか、「アビエイター」(2時間49分)とか、クソ長くて退屈な映画が多いじゃないですか。スコセッシxディカプリオの組み合わせって、この他にも「シャッターアイランド」とか「ディパーテッド」とかありましたけど、どれも今イチじゃありませんでした? 「ディパーテッド」はオスカーの作品賞と監督賞取りましたけど、当のスコセッシ自身が「嫌いな映画だ」って言ってたぐらいで。
ところが、予感は見事に外れました。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」はとんでもない代物だった。
もう最高にぶっ飛んでるんですよ。スコセッシ演出のスピード感が、イケイケ証券マン(ディカプリオ)のテンポにずばりハマった。
のっけから、(他の映画のために)大減量してキレッキレのマシュー・マコノヒーが最高の導入部を披露してくれます。
真っ昼間からマティーニ片手で、「客の儲けなんか関係ない。とにかく客から金をブン取るんだ!」って。
そこから先はもうムチャクチャです。主人公ジョーダン・ベルフォート(ディカプリオ)は、ロングアイランドの小さな証券会社(株の取引手数料が50%というあこぎな会社)でキャリアをスタートさせます。巧みな話術を武器に金持ちを口説きまくり、クズみたいな会社の株をジャンジャン売りさばいていきます。取引金額はズンズン膨れ、すぐに会社をやめて独立。自分で興した証券会社もどんどんデカくなってウォール街に進出し、ディーラーはたちまち1000人規模に。
自宅は高層ビルのペントハウスで、オーシャンフロントには豪華な別荘。2度目の結婚で得た奥さんはモデル級のルックスで、プレゼントはヘリポートつきのクルーザーと、もう絵に描いたような成り上がり。いやあ、ネオヒルズ族の100倍は凄い。
接待につかった費用が1晩で2万6000ドルだとか(予告編の字幕は260万ドルになってますけどね)、会社のパーティーにコールガールを何十人も仕込んだりとか、レアなドラッグを山盛りにしてガンガンキメたりとか、もうメッチャクチャ。だけどこれが、祝祭感溢れる演出で最高に楽しい。ディカプリオも実にはつらつと演じています。
「セックス、ドラッグ、ロックンロール」ならぬ「セックス、ドラッグ、IPO」ですね。女、クスリ、上場、パーティ、フェラーリ……ド派手でクソ狂乱な日々。
もちろん、その源泉は非合法ビジネス。ライブドア事件を引き合いに出す人も多いと思いますが、あんなの比じゃない。もう真っ黒。株価操作にインサイダー取引にマネーロンダリングと彼らは極めて狡猾で悪質です。ちょっと目立ちすぎて、FBIに目をつけられるんですけどね。
それにしても金融業界のクレイジーさはハンパない。日本じゃ、ある意味キャラが正反対でモラルの高い「半沢直樹」が人気でしたけど、バブル時代には銀行員がノーパンしゃぶしゃぶ店で大蔵官僚を接待してましたからね。どこもおんなじですよ。蛇の道は蛇。いや、同じ穴のムジナか。
「ウォール街」ミーツ「カリギュラ」みたいな、忙しくて速くて起伏に富んだ3時間のコースターライド。「マジかよ」と「あり得ない」の連続です。映画史上、もっとも「Fワード」が多い映画なんだって。総計500回以上、これでもかと繰り出されるF・U・C・K。いやあ楽しかった。
それにしても、ディカプリオとスコセッシは最初からこれ撮ればよかったじゃん!「アビエイター」も「ギャング・オブ・ニューヨーク」も要らなかったよ。
しかしこの映画、嫌いな人は大嫌いでしょうね。裸はたくさん出てくるし、ドラッグはいつも山盛りだし、人の金をだまし取る悪党の話だし、あまり絶賛すると、品格を疑われかねない面はあります。確かに。
そうだなあ、最近だと「ハングオーバー」かなあ、いや「ボラット」を見た時の気分に近い。心の底から楽しむなら、自身の道徳観とトレードオフです。男子はこの映画見るなら、女子を誘わない方がいいかもね。いろんな意味で。
スピルバーグの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を見た時、私は「スピルバーグはディカプリオの正しい使い方を分かっていらっしゃる!」と大いに唸ったものですが、この「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でも同様の感慨を抱きましたね。ディカプリオは、よくモテて、それを武器に他人を騙して、成り上がってゴージャスになっていくという役が似合います。シリアスな演技はあまり上手くないので、勢いのある、テンション高めのキャラクターの方が味が出る。
アカデミー賞では主演男優賞もあり得ますね。本作にも出ているマシュー・マコノヒー(「ダラス・バイヤーズ・クラブ」でノミネート)の方が有力と言われてますが、この映画のディカプリオならオスカーも全然ありです。授賞式の楽しみがひとつ増えた。
あまりに楽しかったので、原作も速攻注文。映画で描かれている内容、どこまでがホントなのか。それから、不正取引の詳細な手口がどんなものなのか、とっても気になってます。映画は1月31日公開。
賞レース期間とシンクロして、毎年1月〜3月ぐらいは、日本でもクオリティ・フィルムが集中的に市場に投下されます。この3カ月の間に集中的に映画を見ておけば、残りの時期は映画を一切見なくていいよと言っても過言じゃないレベル。
先週から今週にかけ、「アメリカン・ハッスル」(アカデミー賞10部門ノミネート)、「それでも夜は明ける」(9部門ノミネート)そしてこの「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(5部門ノミネート)と3本の試写に出かけました。
「アメリカン・ハッスル」「それでも夜は明ける」の2本については、どちらも素晴らしいんですが、ちょっとシズル感に欠ける印象。他人(一般の人)に説明する意欲が今ひとつ湧かない。「ここが凄いから是非見て!」というベタで分かりやすいストロングポイントがないんです。だから2本とも、ハードコアな映画ファンじゃない限りオススメはしません。はい。
さて、本題「ウルフ・オブ・ウォールストリート」です。見る前はちょっと嫌な予感がしてたんですよ。だって上映時間は2時間59分。マーティン・スコセッシ監督とディカプリオの映画は「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2時間48分)とか、「アビエイター」(2時間49分)とか、クソ長くて退屈な映画が多いじゃないですか。スコセッシxディカプリオの組み合わせって、この他にも「シャッターアイランド」とか「ディパーテッド」とかありましたけど、どれも今イチじゃありませんでした? 「ディパーテッド」はオスカーの作品賞と監督賞取りましたけど、当のスコセッシ自身が「嫌いな映画だ」って言ってたぐらいで。
ところが、予感は見事に外れました。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」はとんでもない代物だった。
もう最高にぶっ飛んでるんですよ。スコセッシ演出のスピード感が、イケイケ証券マン(ディカプリオ)のテンポにずばりハマった。
のっけから、(他の映画のために)大減量してキレッキレのマシュー・マコノヒーが最高の導入部を披露してくれます。
真っ昼間からマティーニ片手で、「客の儲けなんか関係ない。とにかく客から金をブン取るんだ!」って。
そこから先はもうムチャクチャです。主人公ジョーダン・ベルフォート(ディカプリオ)は、ロングアイランドの小さな証券会社(株の取引手数料が50%というあこぎな会社)でキャリアをスタートさせます。巧みな話術を武器に金持ちを口説きまくり、クズみたいな会社の株をジャンジャン売りさばいていきます。取引金額はズンズン膨れ、すぐに会社をやめて独立。自分で興した証券会社もどんどんデカくなってウォール街に進出し、ディーラーはたちまち1000人規模に。
自宅は高層ビルのペントハウスで、オーシャンフロントには豪華な別荘。2度目の結婚で得た奥さんはモデル級のルックスで、プレゼントはヘリポートつきのクルーザーと、もう絵に描いたような成り上がり。いやあ、ネオヒルズ族の100倍は凄い。
接待につかった費用が1晩で2万6000ドルだとか(予告編の字幕は260万ドルになってますけどね)、会社のパーティーにコールガールを何十人も仕込んだりとか、レアなドラッグを山盛りにしてガンガンキメたりとか、もうメッチャクチャ。だけどこれが、祝祭感溢れる演出で最高に楽しい。ディカプリオも実にはつらつと演じています。
「セックス、ドラッグ、ロックンロール」ならぬ「セックス、ドラッグ、IPO」ですね。女、クスリ、上場、パーティ、フェラーリ……ド派手でクソ狂乱な日々。
もちろん、その源泉は非合法ビジネス。ライブドア事件を引き合いに出す人も多いと思いますが、あんなの比じゃない。もう真っ黒。株価操作にインサイダー取引にマネーロンダリングと彼らは極めて狡猾で悪質です。ちょっと目立ちすぎて、FBIに目をつけられるんですけどね。
それにしても金融業界のクレイジーさはハンパない。日本じゃ、ある意味キャラが正反対でモラルの高い「半沢直樹」が人気でしたけど、バブル時代には銀行員がノーパンしゃぶしゃぶ店で大蔵官僚を接待してましたからね。どこもおんなじですよ。蛇の道は蛇。いや、同じ穴のムジナか。
「ウォール街」ミーツ「カリギュラ」みたいな、忙しくて速くて起伏に富んだ3時間のコースターライド。「マジかよ」と「あり得ない」の連続です。映画史上、もっとも「Fワード」が多い映画なんだって。総計500回以上、これでもかと繰り出されるF・U・C・K。いやあ楽しかった。
それにしても、ディカプリオとスコセッシは最初からこれ撮ればよかったじゃん!「アビエイター」も「ギャング・オブ・ニューヨーク」も要らなかったよ。
しかしこの映画、嫌いな人は大嫌いでしょうね。裸はたくさん出てくるし、ドラッグはいつも山盛りだし、人の金をだまし取る悪党の話だし、あまり絶賛すると、品格を疑われかねない面はあります。確かに。
そうだなあ、最近だと「ハングオーバー」かなあ、いや「ボラット」を見た時の気分に近い。心の底から楽しむなら、自身の道徳観とトレードオフです。男子はこの映画見るなら、女子を誘わない方がいいかもね。いろんな意味で。
スピルバーグの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を見た時、私は「スピルバーグはディカプリオの正しい使い方を分かっていらっしゃる!」と大いに唸ったものですが、この「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でも同様の感慨を抱きましたね。ディカプリオは、よくモテて、それを武器に他人を騙して、成り上がってゴージャスになっていくという役が似合います。シリアスな演技はあまり上手くないので、勢いのある、テンション高めのキャラクターの方が味が出る。
アカデミー賞では主演男優賞もあり得ますね。本作にも出ているマシュー・マコノヒー(「ダラス・バイヤーズ・クラブ」でノミネート)の方が有力と言われてますが、この映画のディカプリオならオスカーも全然ありです。授賞式の楽しみがひとつ増えた。
あまりに楽しかったので、原作も速攻注文。映画で描かれている内容、どこまでがホントなのか。それから、不正取引の詳細な手口がどんなものなのか、とっても気になってます。映画は1月31日公開。
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