2017年1月23日月曜日

キューバの町を走るレトロな車は、50年代のアメ車だけじゃないのよ

ひとつ前のエントリーで、キューバにおける名物がチェ・ゲバラとヘミングウェイだって話をしました。でもそれ以前に、誰もが知ってるキューバ名物と言えば、「レトロなアメ車」ってことで異論はないですよね。


実際に、ご覧のようなクラシックなアメ車はキューバの重要な観光資源になっており、「クラシックカー利用のハバナ市内ツアー」の主役として活躍したり、驚くことには、普通のタクシー(=市民の足)としても、そこら中を毎日走りまわっています。


しかし……ちょっと待って下さい。

キューバを走る車の、すべてがレトロなアメ車ってわけではありません。さらに、レトロなアメ車がキューバにおける最適の乗物だってことでもないんです。

私はもともと車好きってこともあり、キューバにおける車事情についても興味津々で乗り込んで来ています。で、今回9日間キューバに滞在して自分なりに体感した、キューバにおける車(乗用車)のシェアは次の通りです。

アメ車(=レトロなアメ車)…… 30%
ラーダ(旧ソ連の車)…… 20%
今どきの車(普通の車)……50%

驚愕の事実発見です。キューバに来てみないと分からなかった真実、それはこの国が「ラーダ天国」だってことです。


これがラーダです。ラーダはソ連の自動車メーカーです。日本人には、ほとんどなじみがありませんが、ラーダ・ニーヴァという四駆の車種なんかは、けっこうファンが多かったと記憶しています。

たまたま私が子どもの頃から自動車オタクで、モーターショーのカタログなんかを隅から隅まで読んでいたから知ってただけの話です。そんなカタログの隅っこに載ってたぐらいの車が、キューバにはわんさか走ってるんですよ。

この、車のシェア案件は、キューバの歴史と関連づけて説明すると分かりやすいんですね。

キューバ革命以前、キューバは実質アメリカの属国でした。当然、アメ車もどんどん入ってくる。

1959年、キューバ革命が起こり、キューバとアメリカは断交します。従って、60年頃からアメリカの車はキューバに輸出されなくなった。

代わって、1960年代以降はソ連がキューバのケツを持つ関係になりました。だから、ソ連の国民車であるラーダがキューバにどんどん入ってくるようになった。

しかし、ソ連は1991年に崩壊します。ソ連のキューバへのサポートも実質的に終了。ラーダの輸入もここで終了。

それ以降は、ヨーロッパの車、アジアの車で廉価なものがキューバにやって来るようになりました。いまキューバの町を走る車は、アメ車とラーダを除けば、韓国のKIAやHYUNDAI、ヨーロッパだとVWとかFIATとかPEUGEOTとかCITROENなどなど。タクシーは中国のGEELY(吉利)です。

面白いことに、日本車の姿はほとんどありません。ごくまれに、トヨタのハイエースなんかを見かけるぐらい。

ラーダの話に戻ります。キューバには50年代のアメ車がたくさん走ってますが、クライスラーとかGMとかフォードなど、メーカーはバラけています。

メーカー本位で比較すれば、恐らく、キューバでもっとも多く走っている自動車はラーダでしょう。これは、キューバに来るまで知らなかったし、ほとんど誰も指摘していなかったことです。「ラーダ天国」、キューバ。面白すぎるよ、キューバ。


ほら、ラーダが3台連なってる。こんなの他の国じゃ絶対にあり得ない。

トヨタはじめ、日産やらホンダやら自動車メーカーがひしめく自動車大国日本では、ラーダの車はまず見かけません。

もっと言うと、昨年訪れたロシアでも、こんなにたくさんのラーダは見なかった。

もともと、イタリアのFIAT124という車をベースにノックダウンした車なので、シンプルだけど味のあるデザインですよねえ。BOXYでとてもキュート。

これは、ビニャーレスという田舎の町に出かけた時に撮ったラーダ。1970年頃のロシアにタイムスリップしたみたいだわ。


これ、箱スカみたいじゃね? 懐かしすぎ。

いやあラーダ、味があるよ。これ、一台欲しいわ。マジで。

初日にガイドしてくれた日本人の方に聞いた話では、キューバでは新規に登録できる自動車の数が年間5000台に制限されていて、一般人が手に入れるのは相当大変なんだそうです。制限されちゃってるから、値段もつり上がるそうで、このエントリで紹介したようなおんぼろのラーダでも、一台100万円ぐらいするそうです。

まあ、そんな制約もあるせいで、ハバナは確かに自動車の数は少ないですね。ただし、半分ぐらいは古いアメ車とかソ連のラーダなもんだから、エンジンはうるさいわ排ガスは臭いわで、空気は全然きれいじゃありません。


ほら、こんな光景をあちこちで見かけます。オーバーヒートか、もっと深刻なエンジントラブルか。このアメ車たち、 製造から60年ぐらい経っているので、走っていること自体が奇跡です。ボディは製造当時のままだけど、エンジン乗せ替えちゃってる車もたくさんあるそうです。

そして自動車メーカーも部品メーカーも、もはやこんな古い車のパーツなんか作ってませんから、スピードメーターは動かないわ、窓を開けるハンドルはもげてるわ、サスペンションやシートはガタガタだわと、本当のオンボロ車です。

オンボロなんで、はっきり言って乗り心地は最悪です。まあ、キューバに行ったら一度は乗ってみたいというのは誰しも思うでしょうから、一度は乗ってみてください。だけど、一度でOKですよ。だって、いつぶっ壊れるか分かったもんじゃない。


ハバナ滞在中、私たちが気に入って何度か乗っていたのがこれ。ココタクシーといって、原付相当のバイクに丸いカウルと後部座席をつけた代物。インドや東南アジアにおけるリクシャーみたいなもん。乗る前に料金交渉しますが、普通のタクシーとあんまり値段は変わらない。スピードはそれほど出ませんが、風を浴びながら走るので、なかなか快適ですよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿