深センは、秋葉原の10倍とも30倍とも言われるメガ電脳街が名物だと言われていますが、今回の深セン訪問において、電脳街はあんまりプライオリティーではありません。
だって、もうPCを自作する人なんかいないし、家電だってECで買う時代。スマホ時代になって「電脳街」の役割もだいぶ変化した感があります。深センの電脳ショップも、ニセ物のiPhoneや、スマホのケース、充電ケーブルなどなど、スマホ周辺のグッズを売る店が圧倒的に多かった。
何も買う物はないし、これといった驚きもありません。
じゃあ、深センでどこに行くのよ? 実は今回、是非とも行きたかった場所がありました。
町中が油絵を売る店、大芬(ダーフェン)です。深センのダウンタウンから、北に向かって地下鉄やタクシーで小一時間ほど移動したところにあります。
大芬油画村といっても、のどかな田園風景が広がる農村ってわけじゃありません。都市の一区画が、丸ごと画商に占められているという感じ。そうだなあ。合羽橋が全部美術品を売る店になってるさまをイメージしてください。
大芬の入り口には、「絵筆を握る手」の像がドーンと置いてあります。なんて分かりやすい。
通りには、絵を並べる店が延々続きます。ホント、画商だらけ。決してギャラリーではありません。絵を並べて売っている。
世界に流通する模造画の60%が、この大芬で作られているそうです。名画のレプリカは、ホテルやレストラン、公共施設に売られていくのです。B to Bビジネスなんですね。
「アルプスを越えるナポレオン」はあちこちの店で見かけます。
ゴッホの「ひまわり」も30枚ぐらい見ましたよ。1枚80元(1300円ぐらい)で売ってます。ちゃんと油絵の具で描いてます。
パブリックドメイン(作者が亡くなって50年経ったもの)の作品は、模造品をいくらで売ろうがOKだと思いますよ。
だけどね……。
これはアカンよね。奈良美智がガサガサ山積みで売られてる。
さっきのゴッホは模写でしたけど、こっちはプリントです。原画の写真をスキャンして印刷してるやつ。
バンクシーもあるよ。1枚50元。額つきだと100元。激安です。
まあ、合法か違法化は置いといて、この大芬という町は、住民が皆アートに関わっているという面白いエリアです。
店先で絵筆を振るうお兄さん、お姉さん、オジさん、オバさんにたくさん遭遇します。そして、彼らのビジネスは法人相手なので、私たちが歩いていても、客引きもされません。ゆっくり鑑賞することができる。
売り物は複製が中心だけど、オリジナルを制作する画家もたくさんいます。そりゃそうだよね。「アート」って、職人が作るんじゃなくて、芸術家が作るもんだから。
世の中には色んなビジネスがあるんだなあと考えさせられる、珍しい体験でした。
帰りしな、実に味のある建築のギャラリー(入場料を取る)で遊ぶ、少年少女を見かけました。彼らが一人前の絵描きになった頃、この町を再訪してみたいですね。
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