2017年7月6日木曜日

QR都市、深センの衝撃。この町じゃ誰も現金使ってないのよ

香港から船に乗って深センにやってきました。まずはイミグレで入国手続き。その後ガイドの王さんと合流します。


深センは、かつて寂しい漁村でしたが、いまは人口1400万人の大都会です。あちこちでデカいビルが建設中です。しかも、若者しかいない。老人の姿をほとんど見かけません。

王さんいわく、「深センは、中国の中では治安がいい方ですが、スリはいます。イスラムの人、ロシア国境の方から来た人。気をつけてください」

王さんと会って、真っ先にお願いしたこと。それは、WeChatへの送金です。100元を王さんに渡して、私のWeChatアカウントに送金してもらう。

WeChatというのは、中国語だと「微信」というサービスですが、日本でいうところのLINEです。もともとメッセンジャーアプリでスタートして、今や電車に乗れるわ、タクシーは呼べるわ、映画のチケットは買えるわと、このアプリひとつで何でもできるようになってる。で、支払い機能も追加されて(WeChat Pay=微信支付)、今やそれが中国人民の支払いのスタンダードになってしまったと。

実は今、中国では、すべての決済の88パーセントが電子決済なんだそうです。信じられない数字です。そのほとんどがWeChatとAliPay(アリペイ)。かつては百度(バイドゥ)の決済も使われていましたが、この分野では百度はすでに退場していました。加えて、銀聯カードによるカード払いも一般的です。


レストランの表示です。歓迎使用「WeChat Pay」「Apple Pay」「アリペイ」。

基本的に、中国の銀行口座がないと、WeChat Payは使えません。ただし裏技があって、誰かにお金を送金してもらえば、その金額分の残高が自分のWeChatアカウントに残りますので、その残高の範囲内で使うことが可能になるんです。それを王さんにお願いしようと。


王さんに、私のWeChatのQRコードを見せます。王さんは、自分のスマホのWeChatアプリからスキャナーを立ち上げ、私のQRをスキャン。送金金額を100元と入力し、送金します。6ケタの暗証番号を入力して、送金が完了します。実に簡単。WeChatで友だちになる必要もありません。

この「お金を受け取るためのQRコード」、つまりWeChat用のQRと、アリペイのQRは、深センのどのお店にも必ずあります。

100元の残高が出来たので、さっそく使ってみましょう。屋台で食べ物を買って、WeChat Payで払うと伝えます。すると、店員がカウンターの上のQRを指さしました。


上がWeChatの、下がアリペイのQRです。WeChatのをスキャンし、金額を入力して「送金」をタップ。暗証番号を入力して、はい、支払い完了。

実に早い。しかも簡単です。簡単ですが、SuicaみたいなIC払いよりはひと手間多い。しかしこれの最大のメリットは、お店側の設備投資が一銭もかからないということですね。WeChatのアカウントを作って、QRコードをプリントアウトして貼っておくだけ。

スタバ(深センにはスタバがたくさんあります)で使った時は、お店のレジにスキャナーが繋がっていて、ユーザー側のQRをスキャン。これは日本のスタバで、スタバアプリで払うのと同じやり方ですね。

タクシーの支払いも屋台と同様です。WeChatのアプリを見せると、運転手がQRコードを出してきます。それをスキャンして、暗証番号入れて、支払い完了。実に簡単。

ガイドの王さんが言うには、彼女は生活費のほとんどがWeChat払いなんだと。家賃は銀行の口座引き落としだけど、それ以外のすべてはWeChatで払っているとのことです。どこでも使える。何でも買える。

年間で20万元までは、手数料ナシ。それ以上は手数料がかかる。マネーロンダリング対策でしょうか。1日の限度額は2万元。C to Cで個人からもらう場合は無制限。ただし、銀行カードが紐づいていないと200元まで。

「クレジットカードは使わないんですか?」

「金額の大きな買い物をするときだけ、クレジットカードを使います」

あー、そういうことか。なるほど。


そういえば、こんなことがありました。

滞在中、ホテルの近所のデパ地下でワインを買った時のこと。私はその時、iPhoneをホテルで充電していて、クレジットカードと現金しか持っていなかった。ワインは128元でしたが、レジはキャッシャーがついてないタイプ。IKEAのセルフレジみたいなのです。一応、店員さんが横にいてヘルプしてくれます。

ワインのバーコードをスキャンし、画面の支払い方法を選ぶボタンをタップします。この時点で、カードかWeChatしか選べない。カードのアイコンをタップして、クレジットカードをスワイプしますが、「受付不可能」の表示が。店員さんと一緒に、2種類のカードを何度もスワイプしますが、受けつけてくれません。どうやら、銀聯カードしか使えないようです。

すると、通りがかりのお兄さんが状況を察し「私がWeChatで払ってあげましょう」と。

「それで、私があなたに現金を払えばいいですか?」

「その通り!」

細かいお金がなかったので、100元札+20元札+10元札を渡します。

「はい、130元です。お釣りは要りません」

「ノーノー。そんなに多くはもらえません」

お兄さんは10元を私に返してきました。決して受け取らない。8元オゴってもらっちゃった。なんていい人!
 
深センは、町中にQRコードがあふれています。


町でよく見かけるシェア自転車。どこで乗り捨ててもOKなやつ。

これもWeChatアプリから、QRコードで利用手続きをします。


支払い以外も、何でもWeChat。何でもQRコード。

もちろん、これは深センだけじゃなくて、上海や北京や、中国全土で起こっている現象だと思います。だって、WeChatのユーザーって、8億人もいるんだよ。

中国、すごいことになってます。私も中国の銀行口座が欲しい。WeChat Payで支払っていると、現金とかクレジットカードがアホらしくなりますよ、ホント。

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