2013年1月19日土曜日

走り出したら止まれない、アトラス山脈ドライブ

我らがスズキ・セレリオは、一路ワルザザードを目指します。市街地を抜けると、思った通りの一本道で、最早カーナビなど必要ありません……と思いきや、ナビが何か叫んでいます。

「制限速度が、60キロになりました」(実際は英語)

モロッコの道路を走っていると、同じ道路なのに制限速度が何度も何度も変わります。私たちが通っているN9号線は、デフォルト100キロ制限。ただし、集落や学校のあるエリアに差しかかると一気に60キロ制限に変わります。他にも、狭い橋に差しかかると40キロになったり、工事中のエリアに行くと20キロになったり。

日本人が日本で走ってる感覚だと、制限速度60キロ見当のところがモロッコだと100キロ。制限速度40キロ見当ぐらいのところがモロッコは60キロ。そんな感じです。私は日本ではけっこうスピード高めですが、モロッコ人もけっこう速い。ヨーロッパ並みのスピード感。

ただし、このN9については、100キロ制限のところで100キロで走っている人はあまりいません。普通の人なら100キロも出せない。流れはだいたい80キロ前後です。先のように、日本だと上限60キロって感じの道路なので、私も最初は60キロぐらいで走っていましたが、それだとガンガン追い抜かれてしまいます。

追い抜かれるまくると、もうちょいスピード上げるかってことになります。それで80キロぐらいで走っていると、大体流れのスピードになる。すると、そのうち60キロ制限のエリアにやってきて、流れも60キロに下がる。60キロ制限を抜けると、また80キロぐらいに上げて……というような繰り返し。



で、この制限速度が、カーナビに常に表示されているんですね(写真右下の100というのがそう)。これが大助かり。何でかというと、モロッコの道路はお巡りさんがやたら多いんですわ。

走っていると、対向車がピカピカっとパッシングをくれることがよくあって、その先にだいたいお巡りさんがいる。で、けっこう車が止められているんですよ。反則キップを切られているのか、注意だけで済んでいるか分かりませんけど、捕まっている車を何台も見ました。片道200キロあまりの道中で、10回以上お巡りさんを目撃しています。彼らは関所を作っていて、道ばたで監視している感じ。止められている車も何台も見ました。

さて、お巡りさんに気をつけながらN9を走っているうち、だんだん高度が上がって行くのが分かります。カーナビに高度計がついていて、1000メートルをあっという間に超え、ぐんぐん2000メートルに近づいていきます。

山並みがすごい迫力で迫り、谷底がどんどん深くなって行きます。本格的な山岳ドライブに突入ですよ。

ハンドルを握る手に力が入ります。車のブレーキがあまり効かないので、ギアは2速に入れっぱなし。

バスやトラックもけっこう走っています。特に、前方に大きなトラックが現れると、こちらも戦闘態勢に入ります。トラックは大体、時速20~30キロぐらいでのろのろ走っています。


ちょっと後につけて、対向車線を伺いながらじっと我慢の運転。やがて道路が見通しのいいエリアに出たところで、ガバっと一気に追い越していきます。

途中、路側帯の広い展望エリアで、車を停めて景色を楽しみたい誘惑にかられますが、一度車を停めてのんびりしてしまうと、さっき苦労して追い抜いたトラックに先を越され、また追い抜かなくてはなりません。展望エリアにはもれなく土産屋があって、店員がデカい石(アメジストか何か)を売りつけにくるのでこれも迷惑。

とにかく、走り続けるしかありません。景色? 景色は走りながら楽しむってことのようです。

時折、ガードレールがないエリアもありますが、路肩は十分にあるし、常に片側一車線がキープされている(センターラインが引かれている)状態なので、対向車とギリギリすれ違うというような、それほど難しい状況には至りません。緊張感が高まるのは、時々前方に立ちはだかる、遅い車を追い越す局面だけ。


道中、羊飼いが羊を追っていたりと、のどかな景色も随所に見られます。

マラケシュ〜ワルザザートは、ノンストップなら4時間かかります。その前半1時間と後半1時間は郊外ドライブのノリ。その間の2時間が、つづら折りを攻略する山岳ドライブといった印象でした。


途中、タジン鍋のランチブレイクを経て、立ち寄り地のアイト・ベン・ハドゥへたどり着きました。

このアトラス越えドライブのうち、翌日の帰路の模様をタイムラプスで撮影したので、ご興味ある方はご覧ください。ただし、2時間の山岳ドライブの部分は、設定に失敗したため、見るだけで酔いそうな映像になってしまったために割愛してあります。合計2時間あまりの郊外ドライブを、2分にまとめた映像です。



走り終えた感想ですが、スペクタクルなアトラス山の景色は確かに素晴らしかった。だけど、頑張って運転したって印象の方が強く残りますね。その反面、ほとんど危険は感じませんでした。日本でももっと怖い峠はザラにあります。個人的には、イタリアのアマルフィ海岸の方がはるかにキツかった。狭い道なのに対向車が多くて、速くてね。

ただし、アトラス山脈越えはワインディングが2時間ぐらい続くので、忍耐はそれなりに必要です。思うに、バスでこの山越えするのは結構厳しいと思います。酔いますよ、ゲロゲロに。絶対。


むしろ、アトラス山よりマラケシュの市街地の方が緊張しましたね。トラフィックが多いところの方がリスクは高いです。どこの国でも。対人、対物、対動物にはご注意って感じで。

さてと、運転は頑張りました。ブレーキの効かない車で山岳部を無事切り抜けた。

しかし、ワルザザートに着いたら、思いがけない災難が待っていたんですよ……。

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