ロサンゼルスの旅行記をさらに中断して、今日は懐かしい旅の思い出をば。
私は、ロンドンに行くと、必ずといっていいほど訪れる場所があります。
バターシーの火力発電所の遺跡です。ピンク・フロイドの「アニマルズ」のジャケで有名な。
プログレファンの聖地ともいえるこのモニュメントは、テムズ川のサウスバンクに今も悠々と聳えています。発電所の周りには、基本、観光地は何もないのですが、川の反対側にあるテート・ブリテンなんかと併せて観光ルートに組み入れるのがオススメです。
そのピンク・フロイドですが、その昔、私はロンドンまで彼らのライブを見に行ったことがありました。
今年の8月に引っ越しをした時に、その時のチケットが出てきたんですよ。ほら。PINK FLOYD IN CONCERT。フォルクスワーゲンがスポンサーしてる。
1994年、アールズコートでのライブです。22年前の今日、10月26日ですよ。
巨大な円形スクリーンをステージに吊るし、円の周囲にぐるりと配置された無数のバリライトがくねくねと動いて七色のスポットライトを照射し、スクリーンには映像を投影しながらバンドが演奏するという、音と光の洪水のようなステージは、ピンク・フロイドとその照明チームによる企画開発が元祖です。
今では、ローリング・ストーンズなんかもツアーでこのセットを採用していますし、2012年のロンドンオリンピックの開会式では、あの円形のセットを5つ使って五輪を作っていましたよね。
90年代、この円形スクリーン+バリライトのセットは、ピンク・フロイドのツアーの大きな呼び物でした。まだインターネットのない時代でしたが、その凄さはメディアやクチコミで我々の知るところとなり、「そんなに凄いんなら是非見たい」ということで、友人と2人でなけなしのお金をはたいて、わざわざロンドンまで見に行ったというわけです。
もちろん、当時日本では、ロンドン公演のチケットなんて入手できません。取りあえず現地に行ってどうにかすると。我々がやったのは、公演開始の2時間ぐらい前に会場に突撃して、ダフ屋を捜すという作戦。めっちゃ原始的、かつ確度の高い作戦です。お金はそこそこかかるけど。
確か、1枚100ポンドぐらい払ってダフ屋からチケットをゲットした記憶があります。チケット見ると、額面は25ポンドですね。まあ、今思えば100ポンドはそんなに高くなかったと思います。
アールズコートの会場は、キャパが1万人クラスでデカすぎずいい感じ。席についてみると、けっこう客の年齢層が高くて驚いた記憶があります。「全然プログレッシブじゃないじゃん!演歌みたいな客層だわw」って。
それはさておき、ライブは我々の予想を遙かに上回っていました。とにかく、ステージ上の消費電力が半端ない。日本では経験したことがない電力レベル。バリライトの数も80個近くあって「金かかってんなあ〜」とため息しきり。しかも、クライマックスになると、円形スクリーンの縁から火花(マグネシウム)が発射されたり、ワイヤーで吊られた円形スクリーンがじわじわ下降してきてギタリスト(デビッド・ギルモア)を激しく照らす強烈なスポットライトになったりと、クラクラしっ放しのもの凄いステージ。もう、シビれまくりです。
あまりに凄かったんで、翌々日に、もう一回見に行ったんですわ。
もうチケット調達の要領は分かっていたので、ダフ屋を見つけると交渉を楽しんだりとかして。
ゲットしてみると、前々日とはチケットの色が変わってました。こっちは22.5ポンドですね。チケット料金、細かく刻んである。
で、2回目の観戦では、円形スクリーンにおもむろに心電図が走り、心臓の鼓動音が「ドックン、ドックン」って響き渡るというオープニング。観客がざわめきます。
そうです。「狂気」です。「The Dark Side of the Moon」。心臓の鼓動に続いては、「Breathe, Breathe in the Air…」のヴォーカルが。
なんと、この日のピンク・フロイドは、「狂気」のアルバムを1曲目から通しでフル演奏したんです。
信じられない、そして忘れられない経験になりました。
この時に痛感したのは、「ロックバンドのライブは、ホームで見るべし」ってことですね。
実はこの6年前に、東京(武道館&代々木競技場)でピンク・フロイドが来日公演やったんですが、全然別物でしたから。電力が違う、火力も違う、スモークの量も違う……。全然別物だって、ロンドン行かなきゃ分からなかった。
以上、ふた昔前のロンドン旅行の思い出でした。そう言えば、バターシーの発電所遺跡は、ノーマン・フォスターらが参画して再開発をやってるらしいですよ。
以下、日刊建設工業新聞ブログより引用。
英ロンドンの中心部にあり、1983年に運転を停止した発電所跡地で進む同国史上最大規模の再開発プロジェクト。老朽化した発電所の施設を修復して複合施設として再生するとともに、その周辺に4000戸の住宅や三つのホテル、総延べ26万平方メートルのオフィスビルなどを建設する。13年夏に第1期工事に着手し、16~25年にかかて段階的に各施設・建物を開業していく。
エラいこっちゃ。またロンドン行かなくちゃ。
Photo credit: Nd3gnU - (Giulio Gambino) via VisualHunt.com / CC BY-NC-SA
Photo credit: jikatu via Visualhunt.com / CC BY-SA
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