2017年の9月、遅めの夏休みを過ごすために、バリ島行きのエアチケット購入とホテルの予約を済ませていた我々は、俄にアクティブになってきた現地アグン山の噴火を警戒し、急遽行き先をハワイに変えた過去があります。この時、我々のハワイでの休暇中にアグン山は噴火しませんでした。エアチケットはキャンセルしましたが(1円も戻らず)、ホテルは12月末の日程でリスケし、キープしておきました。年末の休暇で、バリに再チャレンジしようと思っていたのです。
しかし11月末、アグン山は噴火しました。噴火は11月21日から始まり、25日、26日はかなり大規模に噴煙が上がり、27日にはデンパサールのバリ国際空港が閉鎖されるという事態に。
その後空港は営業再開し、バリ便も運行再開するのですが、火山がアクティブなところに行きたくないので(火山灰は嫌いです)、またしてもバリ島行きを断念し、年末の旅行のデスティネーションをドバイに変更しました。結局、バリのホテルもキャンセルし、宿泊料は1円も戻らないんだが。
まあ、こんなこともあるよね。気を取り直して、金ピカな街ドバイに向かいましょう。エミレーツ航空のドバイ直行便は、エコノミークラスは激安なんだけどCクラスは超高いので、今回、中国南方航空で行きます。広州(Guanzhou)経由だね。
12月23日午前10時45分、我々の乗ったCZ3086便は羽田空港を出発し、15時10分に広州国際空港(CAN)に到着。トランジットで3時間20分過ごし、CZ383便に乗り換えてドバイへと向かいます。ちゃんとオンタイムで運行してます。中国のエアラインもなかなかレベル高くなって来てますよね。この383便は3086便に比べ機体も大きいし、CAも英語がうまい。ま、機内食は相変わらず残念なレベルだけど。
広州からドバイまでのフライトは、8時間45分の予定です。18時30分発、23時10分着、時差が4時間あります。
22時半を回りました。飛行機の窓から外を見ると、アラビア半島の輪郭が見えています。間もなく機体は降下を開始するはず。
しかし、CZ383便はアラビア半島上空を旋回し続け、降下する気配がありません……。ドバイ空港が混んでいるんでしょうか。
ところがその後、旋回を終えたCZ383は、明らかにドバイとは逆方向に向けて「ゴゴーッ」とばかりに加速を始めたのです。
「ん? なんかヘンじゃね?」
目の前のモニターを、フライトトラックモードにチェンジしました。機体は、明らかにドバイを離れています。フライトトラッカーをよく見ると、最終目的地が「Dubai」から「Muscat」に変更になっています。
「ええええ! ドバイ行くんじゃないの? 何これ、もしかしてハイジャック?」
コックピットに怪しい人物が入るシーンは目撃していませんので、さすがにハイジャックの可能性はないとは思いましたが、明らかに様子が変です。もう予定の到着時間は過ぎていますが、機長からのアナウンスは一言もありません。
やがて飛行機は高度を下げ、着陸態勢に入り、一応、無事に着陸しました。
CAがマイクを持って「Ladies and Gentleman, welcome to Dubai.」とアナウンス。あ、ここドバイなんだ。なんか空港が地味だけど、いま確かにドバイって言ったもんな。
タラップ車が近づき、ドアが開き、CAが「それでは、ただいまから機外へご案内します」と言った瞬間、機長が現れ、「ダメダメダメダメ。飛行機から出ちゃダメだから!」とCAを制します。「そのまま自分の席でお待ちください」
ようやく機長のアナウンスが始まりました。「ドバイ空港が濃霧で着陸不可能なため、マスカット空港にやって来ました。ここでしばらく天候の回復を待って、再びドバイに向かいます」と。
やはり、ここはオマーンのマスカットでした。フライトトラッカーの方が正解だった。しかし、CAは何も知らなかったという……。
iPhoneのGoogle Mapで確認すると、GPSもマスカットを指しています。ドバイとの位置関係はこんな感じ。
3時間ほど機内で待機させられましたが(Cクラスの我々は爆睡できました)、結局ドバイの天候が回復しないので、機外に出て、マスカット空港のターミナルで次の連絡を待てとのことです。
現地時間、12月24日の午前4時、バスで連れて行かれた先は、マスカット空港のデューティーフリーエリア。
「飛行機が飛ぶまで、ここでゆっくり買い物でもして、のんびり過ごしてください」
オーノー! 大きなお世話です。何も買うものなんかないし、機内の方がフルフラットだからゆっくり休めるのに。
このターミナルでも、中国南方航空からのアナウンスは一切なく、インフォメーションカウンターにいちいち聞きに行かないと何も情報が得られない。何ともストレスフルで、しかも眠いから読書もしたくなくて、生産性のまったくない時間を過ごすしかありませんでした。イスラムの国だから、もちろんお酒も飲めません。
近隣の中東諸国からやってきたツーリストたちを眺めるのが、唯一の楽しみでしたね。
ターミナルで待つこと6時間、すっかり夜は明け、午前10時に我々はCZ383便に戻ることができました。さらに機内で待つこと3時間半の13時17分、機体はようやくドバイに向けて、マスカット空港を離陸したのです。
もう、ぐったり。
マスカットからドバイまでは1時間ほどのフライトとアナウンスされています。距離にしておよそ400キロ。窓からの風景は砂漠が広がり、いよいよドバイに近づいてきたなと気分も少し前向きになって来ました。
……しかししかし、我々のCZ383便が着陸した空港は、またしてもドバイではありませんでした。
続く。
Photo by sudiantara on Visual hunt / CC BY-NC-ND
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